健康を支え、交流を育む
フレイル予防の〝輪〟
5月26日、同市のひばりが丘団地の集会所で実施されたフレイルチェック。初参加で緊張する11人を快く出迎え、明るく声をかけるのは、参加者と同年代で、同じ地域に暮らす9人のフレイルサポーターたちだ。参加者の握力を測りながら「私より全然若いじゃない。普段からお風呂のお湯の中で『握って開いて』を繰り返せば、すぐに握力がつくわよ」と励ますのは同市在住の女性サポーターで最高齢の豊富満子さん(85歳)。自身の活動について「元々怠け癖があって、普段の運動も1人じゃなかなか続かなかった。サポーターとして参加者にアドバイスをする立場となったことで、関連情報を自ら調べたり、分かりやすく伝える工夫を繰り返したりするうちに、自身の健康についてもより真剣に考えるようになった」と振り返る。
市の広報誌の告知を見て、夫婦そろって会場を訪れた70代のある男性参加者は「自分だけではなく、長年連れ添ってきた妻と〝並走〟しながら、健康を維持していきたい」と思いをにじませる。テニスやジムでのトレーニングなど、普段から定期的に運動していたが、夫婦ともに立ち上がりテストをクリアできずそろって悔しい表情を浮かべたのち、「現実を知ることができて良かった。次回の参加までにお互い励まし合いながらバランス感覚を鍛えていきたい」と今後の抱負を語った。
74歳のある男性参加者は、6年前に伴侶と死別し、現在は1人で暮らす。
「独り身の生活は刺激がない。だが、いざ新たに社会参加したいと思ってもどのイベントやコミュニティーを頼ってよいか、分からないままだった」
そのような不安と孤独を抱えていたところ、地域包括支援センターの職員からフレイルチェックへの参加を勧められたという。
「今朝、久しぶりに外行きの服に袖を通せただけで心が躍った。市(行政)が主催するイベントなので安心して参加することができた」
官学連携で取り組み、地域に広がるフレイル予防の〝輪〟。今後さらに多くの高齢者の健康を支え、交流を育みながら、大きな円を描いて全国各地へと広がっていくことを期待したい。
〝人手不足〟に喘ぐ日本で、頻繁に取り上げられるフレーズがある。「外国人労働者がいなければ日本(社会)は成り立たない」というものだ。しかし、外国人労働者に依存し続けることで、日本の本当の課題から目を背けていないか?ご都合主義の外国人労働者受け入れに終止符を打たなければ、将来に大きな禍根を残すことになる。