Wedge REPORT

2022年5月12日

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結城康博 (ゆうき・やすひろ)

淑徳大学総合福祉学部教授

淑徳大学総合福祉学部教授。政治学博士。社会福祉士・介護福祉士・ケアマネジャーの資格を持ち、地域包括支援センターおよび民間居宅介護支援事業所での勤務経験をもつ。専門は介護と医療を中心とした社会保障政策。著書に『介護職がいなくなる: ケアの現場で何が起きているのか』(岩波ブックレット)など多数。

 厚生労働省は4月27日、全国の高齢者施設で発生した新型コロナウイルスのクラスターが直近1週間で156件と公表した。前月ピーク週の509件から減少傾向ではあったが、再度、増加傾向に転じている(joint介護のニュースサイト「介護施設のクラスター、4週連続で増加 厳しい状況なお続く」2022年4月27日付)。介護現場の実態は、いまだ深刻であることが窺える。

介護現場では、クラスターを懸念した最新の注意を払わなければならない(Wedge)

 在宅介護現場においても深刻な事態を招いている。筆者による介護関係者(ケアマンジャー、ヘルパーなど)によるインタビューによれば、在宅介護の要介護者及び家族が感染し、在宅介護サービスを利用しにくくなっている。日々の介護生活が危ぶまれる綱渡り的な状態が生じている。

サービスが利用できなくなる要介護者

 筆者が、2021年2月3~16日に介護現場の従事者(ケアマネジャー、ヘルパー、介護施設スタッフ等)へアンケート調査を行ったのだが、コロナ禍による利用控えによって要介護者の機能低下のケースが一定数いたことが分かる(図1)。

 特に、在宅要介護者における「フレイル」「機能低下」がコロナ禍による深刻な問題として懸念されている。調査報告において「要介護者が感染者もしく濃厚接触者」となった場合には、介護サービスを中止した(している)が2割となっていた。自由意見としては、「ショートステイの利用を中止してもらった」「利用者の家族が擬陽性の時はヘルパーにPCR検査の結果が出るまで休んでもらった」「陽性者に介護をしたら他のサービスに入れない」といった声が寄せられた。

 つまり、感染者が介護サービスを利用すると、その介護スタッフも感染リスクが生じてしまい、どうしても供給者側はサービス提供に躊躇する。まして、介護施設がクラスターとなることも懸念されることから、「デイサービス」「デイケア」「ショートステイ」では、感染リスクの高い高齢者のサービス利用は受け入れられない事態となる。

 デイサービス、デイケア、ヘルパーサービスなどが提供できなくなると、どうしても機能低下は否めずに要介護度が悪化してしまう。同調査報告における自由意見としては、「外出の機会が減り転倒する確率が高くなった」「認知症が進行している人がいる」「介護者の負担が大きくなっている」といった意見が寄せられた。

 今回の感染拡大においても、かなり介護サービスを利用できない在宅要介護者がいると推察される。その意味では、収束して利用者数は戻ったとしても、いずれ程度の差はあれ、また感染拡大が到来することは考えられ、一定期間の増減の繰り返し状態が続くであろう。

 それを考えた場合、「ウィズコロナ」と在宅介護をどのように考えていけばよいのだろうか?

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