介護への予算措置が医療崩壊を防ぐ
そのため、今、再度の感染拡大到来に備えて国や自治体は、新たな予算措置を講じておくべきであろう。特に、感染者へのケアに衛生用品など備品の経費がかかる。しかも、防護服の着替えなどケア稼働時間外の労働も考慮しなくてはならない。
感染者へ訪問介護、リハビリなどのケアに入れば、介護報酬とは別の予算を組んで収入を確保しなければ、介護サービスを提供する事業所は皆無になる。
介護人材不足対策としては、緊急的に介護人材派遣といった民間会社を活用して人材確保を図ることも考えてみてはどうであろう? その費用助成を公費(税金)で工面するといった予算措置を講じるべきと考える。潜在介護スタッフは、派遣会社や紹介会社といった「民間介護人材・派遣会社」には多く登録されている。コロナ禍に関わらず「民間介護人材・派遣会社」の業績は良好であるからだ。
確かに、民間会社へ「公費」投入するといった課題は残るが、介護現場の深刻さを打開するには、このような助成金を設けることも一案であろう。
コロナ禍では医療現場に注目され、諸々の施策が医療分野に偏ってしまっていた。例えば、21年度補正予算において「医療提供体制の確保等」を目的に、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金等による支援で2兆1033億円を計上したが、これらにおける介護分野への配分は僅かであり、大部分が医療関連に充てられている。
確かに、感染対策が喫緊の課題であるため、医療へ傾斜することは当然である。しかし、医療の半分程度の財配分が保障されれば、介護分野の危機は軽減される。
高齢者分野に施策を同程度にシフトすることで、「医療崩壊」も防げることになる。医療と介護は表裏一体なので、今後に備えて介護施策の重層化を願いたい。