2024年4月17日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年7月7日

 それぞれの野党が政府側に受け入れ困難な交換条件を付けて、妥協せず、結局何も決まらないといった状況になる恐れもないわけではないが、それはやり方次第ではないだろうか。

マクロン改革の可能性は低い

 いずれにせよ、マクロンにとり議会の解散は当面の選択肢ではありえず、これまでとは異なって根回しによる下からの積み上げによる多数派工作の粘り強い努力が必要で、議会対策を担う首相の政治的手腕が重要となる。マクロンもこれまでのような反発を招くレトリックを控え、ひたすら謙虚に振舞う必要があろう。

 外交政策については、もともとルペンもメランションも親露派で反欧州連合(EU)、反北大西洋条約機構(NATO)であるが、基本的に外交や防衛は大統領の権限であるので、当面国内政治に注力する必要はあるが、直ちに大きな影響が出ることはないであろう。ただ、移民問題やEUへの関与を巡り、左右両派が手を組み野党が一致して政府の方針に反する法案を提出するような可能性も完全には排除されず、留意する必要があろう。

 左派連合は分裂の可能性があり、ルペンの国民連合もこれ以上の勢力拡大には限界もある様に思えるので、過度に悲観的になる必要もなく、マクロンの改革はそのペースが鈍るとしても完全に停滞することにはならないのではなかろうか。逆に、強引に改革を進めれば、その反動でその後に、左派又は右派のポピュリスト政権が成立してしまう恐れがある。マクロンとしては、ポスト・マクロンを視野に、新たな多数派構築のために戦略的に取り組む必要があろう。

   
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