フランス大統領選挙の決選投票が24日、行われ、即日開票の結果、中道与党「共和国前進」(LREM)のエマニュエル・マクロン大統領(44歳)が、極右「国民連合」(RN)のマリーヌ・ルペン氏(53歳)に勝利し、2期目の続投を決めた。
得票率は、マクロン大統領が59%、ルペン氏は41%。同じ顔ぶれだった前回(2017年)の決選投票と比較すると、マクロン大統領は66%から約8%落とし、ルペン氏は34%から約8%加算した形となった。
棄権は31%だった1969年大統領選以来の多さとなる28%に上った。この棄権の高さが、今回の大統領選の特徴でもあり、2期目のマクロン政権を占う指標になりそうだ。
緊張感に満ちた勝利宣言
午後10時過ぎ、エッフェル塔をバックにマクロン大統領は、「メルシー(ありがとう)、メルシー」を繰り返し、勝利宣言を開始した。
「5年間の変遷と危機、困難な変化の時を経て、更なる5年間に託してくれた人々に感謝する」
そう語りかけたものの、表情はすぐに硬くなった。若い支持者たちに囲まれる中で、マクロン大統領は、「多くの有権者が私の考えに賛同せず、極右の勝利を防ぐために投票してくれたことを知っている」と真顔になった。
マクロン大統領が「ルペン氏に投票した有権者の失望も理解できる」とライバルの支持者について指摘すると、会場に集まる反ルペンの若者たちからはブーイングが飛び交った。
しかし、マクロン大統領は、「ブーイングはやめなさい」と訴え、「今日から私は、一方の候補者でなく、全国民の大統領だ」と主張した。5年前とは異なる、緊張感に満ちた勝利宣言となった。
投票結果が報じられてから約10分後、ルペン氏がRN本部の会見場に姿を現した。フランス初の女性大統領誕生は実現しなかったが、「この結果は、勝利を意味する」と笑みを見せた。
17年の決選投票では、大差でマクロン大統領に敗れたが、極右政党が40%以上の票を得たことは、過去に起こりえなかった躍進だ。負けたルペン氏は、勝ったマクロン大統領の表情と違い、柔らかかった。そして、こう主張した。
「この敗北は、フランス国民には偉大なる挑戦があることを、フランスと欧州の政治家たちに示すことができる希望になった」
この会見に参加していたファビアンヌ・ドマ氏は、海外メディアの取材に対し、「マクロン大統領は、フランス人を好きではない」と批判。「フランスの歴史や文化に唾を吐き、われわれを蔑んでいる」と不満を訴えた。