フランス大統領選の決選投票(有権者数約4900万人)が、5月24日に行われる。中道政党「共和国前進」(LREM)のエマニュエル・マクロン大統領(44歳)が2期目を勝ち取るのか、極右「国民連合」(RN)の前党首マリーヌ・ルペン候補(53歳)が初の女性大統領の座に就くのか、結果は数日後に迫っている。
決選投票の鍵は、マクロン大統領とルペン候補それぞれが、5月10日に行われた第1回投票で3位につけた左派「不服従のフランス」のジャン=リュック・メランション氏(70歳)の浮動票をいかに獲得できるかにかかっている。
現職マクロン大統領が10%リード
マクロン大統領は、環境問題を最優先課題に挙げている。これは、左派支持者にとって、もっとも高い関心事であるからだ。5月16日、同大統領は、フランス第二の都市マルセイユで、「石油、ガス、石炭から解放される最初の国になる」と力説した。
さらに、今回の決選投票について、「文明の選択である」と表現し、「将来に向かって闘うのか、それとも、将来を危機に陥れるのか」と揶揄。環境問題に関心が薄いといわれるライバルを皮肉った。
対するルペン候補は、「真っ先に取り組むのは、燃料や電気にかかる付加価値税を下げることだ」と主張。マクロン大統領の就任以来、国内を混乱に招いた燃料費の消費税増加を20%から5.5%まで引き下げることを視野に入れている。
また、ルペン候補は、不法移民の取締りや、移民の家族呼び寄せ制度の廃止を公約に掲げるほか、国内法が欧州連合(EU)法に優る仕組みを整えるなど、自国ファースト重視の公約が目立っている。
ロシア・ウクライナ戦争を巡る両者のスタンスの違いも、明確に表れている。マクロン大統領は、これまでプーチン大統領と会談を行い、戦争の早期決着を試みてきたが、成果は出ていない。今後も、ウクライナ支援を積極的に行う姿勢を崩さない。
一方のルペン候補は、プーチン大統領との親交も深いことから、ロシアの経済制裁や北大西洋条約機構(NATO)には好意的な態度を示していない。彼女は、米国指揮下での紛争介入に反対の立場を貫いている。