フランス大統領選が4月10日に開始する。強硬な新型コロナウイルス感染防止対策で批判も多い現職のエマニュエル・マクロン大統領は、このまま2期目を迎えることができるのか。
マクロン大統領は、1月から続いている欧州連合(EU)議長国としての任務や、ロシア・ウクライナ危機鎮静化への介入、また2月24日に始まったロシアのウクライナ侵略への対応など、国家元首の責務遂行を優先。3月3日時点では大統領選への出馬表明に遅れが出ているが、秒読み段階の模様だ。
仏調査会社「イプソス」が2月5日に公表した世論調査によると、支持率はマクロン大統領の24%を筆頭に、中道右派「共和党」のバレリー・ペクレス氏が16.5%、極右「国民連合」のマリーヌ・ルペン氏と極右評論家のエリック・ゼムール氏がそれぞれ14%と続いている。
マクロン大統領は1月上旬、パリの日刊紙『パリジャン』に対し、「彼らを懲らしめたい思いが強い」と俗語を交えて発言。「彼ら」とは、フランス国内にいるワクチン未接種者約500万人を指し、この大胆発言が国民や野党政治家らの反感を招いた。
フランスでは、オミクロン株が確認された昨年12月上旬から1カ月半で700万人が感染し、1日最多50万人超を記録した。一方で、ワクチン効果に疑問を抱く国民も多く、国内で約10万人の反ワクチンデモも起きている。
このような人々を抑え込もうと、ワクチン接種を半ば強制的に進めてきたマクロン大統領だが、国民や野党政治家らは、国家元首の不適切な発言に対し「下品だ」、「国民を分断するな」などと訴えてきた。
フランス政府が決定した「ワクチン接種義務化」は、今年1月24日に施行。未接種者は、公共交通機関や飲食店などの利用が事実上、不可能になった。ルモンド紙(1月5日付)によると、ゼムール氏は、パリに集まる支持者を前に「フランスの未来を忘れさせ、(大統領選で)コロナ問題を持ち込むマクロンの罠にはまるな」と警鐘を鳴らした。
2カ月後に迫った大統領選は、どのような展開を迎えるのか。現時点で、出馬を表明している主力候補は、既述の4人に加え、急進左派のジャンリュック・メランション氏、緑の党のヤニク・ジャド氏、社会党のアンヌ・イダルゴ現パリ市長らだ。
フランスの大統領選は2回投票制で、1回目で過半数を得られなければ、上位2人が決選投票を行う。現在、ルペン氏かペクレス氏のいずれかが、マクロン大統領との決選投票に進む見通しが高い。
社会学者のジャン・ビアール氏は「ペクレス氏が鍵を握る」と述べ、「2人は社会的、文化的背景が似ている。男女の対決で、有権者の意識も高まる」と分析した。マクロン大統領の強硬なコロナ対策の成敗は、大統領選の結果で証明されるだろう。
四方を海に囲まれ、好漁場にも恵まれた日本。かつては、世界に冠たる水産大国だった。しかし日本の食卓を彩った魚は不漁が相次いでいる。魚の資源量が減少し続けているからだ。2020年12月、70年ぶりに漁業法が改正され、日本の漁業は「持続可能」を目指すべく舵を切ったかに見える。だが、日本の海が抱える問題は多い。突破口はあるのか。
特集はWedge Online Premiumにてご購入することができます。