2024年12月9日(月)

勝負の分かれ目

2022年7月27日

 大谷は来季終了後の2023年オフにエンゼルスとの契約が終了し、フリーエージェント(FA)となる。来年のシーズンオフにFA権を取得する予定の二刀流スーパースターを巡り、米メディアやMLB関係者はここにきて他球団への移籍説を一斉に唱え始めているのが現状だ。移籍先候補として現地ではロサンゼルス・ドジャースやニューヨーク・ヤンキース、ニューヨーク・メッツなど資金力の豊富な複数球団の具体名まで飛び交っている。

大谷移籍が取り沙汰されるチーム内外の事情

 現地時間8月2日のトレード期限まで残り1週間足らずとなる中、今季中の駆け込みトレード成立の可能性を疑う声も消えていない。エンゼルスは同25日時点で借金16、ア・リーグ西地区4位に沈んでいる。

 これだけ低迷していればポストシーズン進出は数字上不可能とは言い切れないにせよ、ワイルドカードによる滑り込みもさすがに非現実的なシナリオだ。こうした現状と照らし合わせ、年俸60億円級、総額400億円とも目され〝難題〟となっている大谷との再契約および契約延長をエンゼルス側が諦めてFA前の移籍に舵を切り、見返りとして少なくとも有望株の5選手以上を獲得できれば、それなりのメリットは得られる。このような流れを予想するMLB関係者が数多いのは今の大谷とエンゼルスの立ち位置と関係性を鑑みれば、至極当然であろう。

 ただ、米メディアの複数の敏腕ビートライターからは「エンゼルス側は今季中の期限までに大谷を放出する計画がないと話している」との情報がSNSなどを通じて相次いで発信されており「8・2駆け込みトレード説」のトピックスは日を追うごとに沈静化しかかっているのが現状だ。とはいえ、たとえ今季中の駆け込みトレードが実現しなくても今オフ、そして来季中、さらには来オフのFAまでエンゼルスとの再契約が締結されない限り、大谷の移籍話は長々とくすぶり続けることになるのはまず避けられない。

 大谷は口にこそしないが、あまりにも不甲斐ないチームの惨状に辟易しかけている心情は容易に想像がつく。実際に昨年9月26日のシアトル・マリナーズ戦後には次のような紛れもない〝本音〟を発し、物議を醸したこともあった。

 「ファンの人も好きですし、球団自体の雰囲気も好きではある。ただ、それ以上に勝ちたいという気持ちが強いですし、プレーヤーとしてはそれの方が正しいんじゃないかなと思ってます」

 エンゼルスではアーティ・モレノ球団オーナーの大号令によって大谷の残留を最優先事項とし、心血を注ぐように編成部門にハッパがかけられているという。だが、現実的な問題として大谷との新契約も含めた球団の金庫事情を計算すれば、2024年シーズンは8月で33歳を迎えるマイク・トラウト外野手や、6月で34歳となるアンソニー・レンドン内野手、1月で34歳のライセル・イグレシアス投手の〝峠を越えたベテラン3選手〟と締結済みの複数年巨額契約と合わせ、4人の総額年俸が実に1億2000万ドル(約164億円)を超える可能性が極めて高い。


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