モレノオーナーの強い意向を受け、エンゼルスではラグジュアリー・タックス(ぜいたく税)を支払わない方針を長年に渡って堅持している。だが、それに沿うならば24年シーズンに向けた補強で費やせる編成費用は大谷との新契約とベテラン3選手へ巨額年俸を支払わなければならないことによって極めてジリ貧な状況に陥る。つまり大谷が強く望む「勝ちたいという気持ち」に応えられるような補強とチーム編成が非常に厳しくなるのは、どうしても否定できないだろう。
ステージを上げるためには移籍も選択肢
現地でエンゼルスを含む西海岸のMLB球団を取材するビートライターの1人は次のように打ち明ける。
「エンゼルスはオオタニに頼るしかない苦境にまで追い込まれてしまっている。彼はチームにポストシーズン進出を求め、目標としてワールドシリーズ優勝も掲げているが、これだけ戦力バランスの崩れてしまったエンゼルスに在籍したままで今後それらを実現するのはしばらく難しいと言わざるを得ない。オオタニが本気でステージを上げるつもりならばエンゼルスに別れを告げ、強豪球団へ移籍するべきだろう。
それに今オフのオオタニが年俸調停権を再取得し、契約最終年となる23年シーズンの年俸がさらに跳ね上がるのは必至であることから、エンゼルスの球団内からもオーナーの大号令に反し、今オフをリミットとして『FAで出ていかれてしまう前に大型トレードを決断すべき』と主張する意見も出ていると聞く。エンゼルスのペリー・ミナシアンGMは今も忙しく、オオタニを獲得したがっている他球団からの打診に耳を傾けているそうだ」
大谷はどのような決断を下すのだろうか。さまざまな意味でターニングポイントを迎えた二刀流スーパースターの今後には、世のビジネスパーソンも興味津々に違いない。