「湿度」に気をつけるべし
暑さ指数(湿球黒球温度、WBGT =Wet Bulb Globe Temperature)をご存知だろうか? 単位は気温と同じ摂氏度(℃)だが、気温とは異なり、熱中症を予防することを目的として1954年に米国で提案された指標だ。
何を表しているのかというと、人体と外気との熱のやりとり(熱収支)だ。このため、温度、湿度に加え、日射・輻射など周辺の熱環境が加味される。東京などの過密都市は、日射・輻射など周辺の熱環境はすこぶる悪いので、高く出る。
しかし、前述の3要素の内、もっとも影響の大きいものは「湿度」だ。実は暑さ指数70%は湿度で決まる。次いで「周辺の熱環境」が20%。「温度」はたった10%ほどだ。そう、熱中症対策には、湿度をしっかりコントロールする必要があるのだ。
理由は、人の体温調整機能にある。ご存知の通り、人は汗を放出することにより体温調整する。これは汗を出せば終わりという意味ではなく、体外放出された汗が体表から気化することにより、体表の熱を奪う、いわゆる気化(熱)まで行われて始めて体温を下げることができる。
高湿度環境下では、汗はなかなか蒸発しない。このため熱を放出できなくなり、熱中症になるわけだ。
エアコン、クーラーの冷却は、除湿を伴う。このため、有利な状況にあるが、できる限り、温湿度、双方共に注意する必要がある。