2024年11月22日(金)

プーチンのロシア

2022年9月2日

 政権与党「統一ロシア」や野党・共産党の下院議員らは6月24日、9月3日を「軍国主義日本に対する勝利と第2次世界大戦の終結の日」とする法案を提出した。議員らは声明で「日本は欧米と連携し、わが国に対する前例のない非友好的なキャンペーンを行った」と非難。9月3日は「軍国主義日本に対する戦勝記念日としてわが国の歴史と社会に刻まれている」と説明した。

 プーチン氏の最側近であるロシア安全保障会議のパトルシェフ書記は8月19日、日本について「全力でロシア嫌いの世界的運動における主導的な立場を占めようとしている」と批判した。この発言は、日本への不満がプーチン政権内で高まっている現状を示している。

 こうした中で、大規模軍事演習「ボストーク2022」は「対日戦勝記念日」が開催期間に含まれることになった。ロシア軍は今後もこの時期、強硬な姿勢をとり、日本への敵愾心を煽るような行動を行っていくとみられる。

故ゴルバチョフ氏が遺した関係は消えてしまうのか

 8月30日には、ソ連最後の最高指導者で、1991年に最高指導者として初来日を果たしたミハイル・ゴルバチョフ氏が逝去した。

 ゴルバチョフ氏は当時の海部俊樹首相との会談で、両国の間に領土問題があることを認め、その後の日ソ共同声明では択捉、国後、色丹、歯舞の北方四島が平和条約で解決されるべき領土問題の対象であることが初めて文書の形で確認された。

 全ての作業が終わり、最後の記者会見に臨む直前、海部氏はゴルバチョフ氏にこう伝えたという。

 「日本では、子供に親は『嘘ついちゃいけない』と伝えている。『嘘ついたら針千本飲ます』と教えている。だから、小指と小指をひっかけて約束しよう。ゴルバチョフ氏は「やろう。そうしよう」と応じたという。

 署名を終えた後、2人とも立ち上がり、右手で共同声明を交換、握手を交わした。そうして、後ろを振り向いたゴルバチョフ氏の肩をぽんぽんとたたいて、右手の小指を差し出す。笑顔になったゴルバチョフ氏がそれに応じて、指切りげんまんをした。

 日露両国はそれから30年経ち、「プーチンの戦争」が原因となり、また時計の針を戻すような冷え切った関係に戻ろうとしている。

 来年以降も9月3日は、日本を敵対視するような動きや政治家の強硬発言にまつわるプロパガンダが大々的に繰り広げられるかもしれない。

 
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 ロシアのウクライナ侵攻は長期戦の様相を呈し始め、ロシア軍による市民の虐殺も明らかになった。日本を含めた世界はロシアとの対峙を覚悟し、経済制裁をいっそう強めつつある。もはや「戦前」には戻れない。安全保障、エネルギー、経済……不可逆の変化と向き合わねばならない。これ以上、戦火を広げないために、世界は、そして日本は何をすべきなのか。
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