2022年8月11日(木)

プーチンのロシア

2022年8月2日

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 ロシアの侵略を受けるウクライナのゼレンスキー大統領が、自国の治安機関、ウクライナ保安局(SBU)の腐敗根絶に苦心している。7月17日には盟友のバカノフSBU長官と、ベネディクトワ検事総長を更迭。両機関の職員60人以上が被占領地域で職務を続けていることを〝裏切り〟とみなしたからだが、SBU幹部らの反逆行為はロシア軍の侵略開始直後から判明していて、それが南部ヘルソン州などの制圧につながったとも指摘されている。

ゼレンスキー大統領が更迭したバカノフSBU長官(左)と、ベネディクトワ検事総長(ロイター/アフロ)

 ソ連国家保安委員会(KGB)の流れをくむSBUは強大な権力を持ち、幹部らの多くはモスクワのエリート治安機関校出身だ。ロシアによる影響力を排除するのは容易ではなく、ゼレンスキー氏の〝内なる敵〟に変貌しかねない危うさが漂う。

〝国家反逆〟651件

 「国家の安全保障の根幹に対する犯罪の数々が、わが国の治安機関員とロシアの特務機関により引き起こされたという事実は、責任者らの資質に深刻な疑問を投げかける」

 ゼレンスキー氏が17日夜、SNS経由で行った国民向けの演説内容はショッキングなものだった。SBUと検察の職員による国家反逆行為651件に対し捜査が行われていて、両機関の職員60人以上がロシアに占領されたヘルソン州やハリコフ州に残り、ロシアのために業務を続けているというのだ。ゼレンスキー氏は「(責任者らは)適切な答えを得るだろう」と指摘した。

 ロシアによる戦争犯罪の大規模調査を手がけるベネディクトワ氏の更迭は意外との受け止めが多かったが、SBUのバカロフ長官は、かねてから更迭の可能性が指摘されていた。SBUをめぐる深刻な不祥事がロシアの侵略開始当初から判明していて、ゼレンスキー氏のビジネスパートナーだったバカロフ氏の治安機関トップとしての資質を疑問視する声が、早くから上がっていたからだ。

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