2022年10月7日(金)

Wedge REPORT

2022年9月23日

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真田康弘 (さなだ・やすひろ)

早稲田大学地域・地域間研究機構客員主任研究員・研究院客員准教授

神戸大学国際協力研究科博士課程後期課程修了(博士・政治学)。東京工業大学社会理工学研究科産学官連携研究員、法政大学サステイナビリティ研究教育機構などを経て、2017年より現職。

補助金は「薬」にもなり得るが
問題はその使い道

 「漁業補助金が全て悪というわけではないはずだ」という日本の主張は、確かに理屈としては通っている。例えば漁業者にお金を払って操業時の詳細なデータを取ってもらい、それを資源調査に役立てるなら、それは資源管理に資する補助金といえる。

 「漁船リース事業」も、過疎に悩むわが国の地域政策として適切であり得る。この事業は漁業で中核的な役割を担うであろう若手でやる気のある漁業者をサポートし、新たな船での操業で所得を向上させ、漁業の活性化を図るという目的で始められている。

 今回筆者が取材した北海道の離島、焼尻島の高松亮輔氏は、道内で「漁船リース事業」を初めて申請した漁業者だが、申請当時は東日本大震災により多数の漁船が被災し新船建造需要が急増したことなどもあり、沿岸用の小型漁船でも4000万~5000万円と、船価が急騰していた。まだ30代前半だった高松氏はこの事業を利用、漁船を取得した。島民による資源管理に成功している焼尻島では、漁業者の収入も概ね安定しており、高松氏の経営も順調である。補助事業としては所期通りの成果を挙げたと言える。

 しかし、「制度を利用した私が言うのもなんだが、漁船リース事業は罪の方が深い」と高松氏が指摘するように、補助金には負の側面がある。造船所やエンジン、計器類のメーカーが「どうせ半分は税金だ」と足元を見て値段を吊り上げてしまうなどして、船価がさらに高騰したというのである。現在、同等の漁船は……

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Wedge 2022年10月号より
諦めない経営が 企業をもっと強くする
諦めない経営が 企業をもっと強くする

かつては日本企業から世界初の新しいサービスや商品が次々と生み出されたが、今や見る影もない。その背景には、「選択と集中」という合理化策のもと、強みであった多くの事業や技術を「諦め」てきたとの事実が挙げられる。バブル崩壊以降の30年、国内には根拠なき悲観論が蔓延し、多くの日本人が自信を喪失している。だが、諦めるのはまだ早い。いま一度、自らの強みを再確認して、チャレンジすべきだ。

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