2022年10月6日(木)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2022年9月4日

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片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社社員

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会) 『日本の漁業が崩壊する本当の理由』『魚はどこに消えた?』(ともにウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著、『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

 小さな魚を獲ってはいけないことは誰にでもわかるはずです。しかし、それは大概、どこか他の国のことで、自分たちには関係がないことと思うことでしょう。しかしながら、そのわれわれの食糧供給に大きくかかわる問題は、ごく身近にあるのです。

可食部がほとんどない。大きく成長する前の高級魚キンキ(筆者撮影)

 食用にできずエサにしてしまうケースは別にして、日本人は、ほぼ魚を捨てることなく、器用に利用します。このため、とても小さな魚でも、写真のように「ひらき」にしたり、ほとんど食べるところがなくても、魚肉の部分をとって、練り製品などに混ぜたりしてさまざまな工夫を加えていきます。

 もっとも、資源が潤沢にあり、持続性に影響がなければ、小さな魚でも獲って問題はありません。しかしながら、資源が少ないのに、小さな魚を獲ってしまうとなると、話は別です。

 日本の場合は、漁業法の改正で今後改善が期待されますが、そもそも漁獲枠がなかったり、あっても漁獲量より漁獲枠が大きすぎて機能してないケースがほとんどです。このため、漁獲圧力が高くなって、水産資源に非常に悪い影響を与えているケースが随所に見られます。

 ほとんど知られていませんが、日本の漁獲量に対しては、世界銀行や世界食糧農業機関(FAO)が非常に悲観的な見通しを出しています。すでに日本では、資源が崩壊する一歩手前の魚種が多く、資源回復のための時間は限られ、緩い運用はその魚種の資源に致命的な結果をもたらしてしまいます。

 国際的に非常に悲観的に見られている日本の漁業と資源。その実態を知らないこと自体、大きな問題ではないでしょうか?

小さいうちに獲ると魚は卵を産めない

 小さいうちに漁獲してしまうと、成魚になって卵を産んで子孫を残す機会を奪ってしまいます。これを「成長乱獲」と言います。

 魚を減らすことなく獲り続けられる数量をMSY(最大持続生産量)と言います 。産卵する親をサステナブル(持続可能)な量に維持して、魚を獲り続けることが世界の漁業の常識であり課題です。

 海の憲法と呼ばれる国連海洋法や2015年に採択された持続可能な開発目標(SDGs)の14(海の豊かさを守ろう)にも、MSYによる管理が明記されています。

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