2022年6月30日(木)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2022年6月20日

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真田康弘 (さなだ・やすひろ)

早稲田大学地域・地域間研究機構客員主任研究員・研究院客員准教授

神戸大学国際協力研究科博士課程後期課程修了(博士・政治学)。東京工業大学社会理工学研究科産学官連携研究員、法政大学サステイナビリティ研究教育機構などを経て、2017年より現職。

 昨今、持続可能な開発目標「SDGs」という言葉を新聞やテレビなどのメディア媒体で見ない日はない。実際、日本の全国紙、地方紙、業界紙などを網羅している新聞記事データベース「ELNET」で検索してみたところ、2021年に「SDGs」というキーワードでヒットした記事は2万3990件に上る。SDGsや環境への配慮を謳った製品やエコマークを付した製品をスーパーで探すことは、困難なことではない。

(Carmen Romero/gettyimages)

 ところが、水産物になると話は別である。エコマークのついた水産物を見つけることができるスーパーのほうが、むしろ少ないだろう。こうした海のエコマークのなかでも最も有力で世界各国で製品が流通しているのが「MSC」という認証であるが、今月発表されたMSCが世界規模で実施した調査結果によると、全世界での認知度は2ポイント増の48%であった一方、日本での認知度は15%に過ぎず、しかも2年前の調査と比べて4ポイント減少している 。

 そもそも知られてすらいないということである。原因の一旦は、日本で出回る認証商品自体の少なさである。流通している数少ない認証商品の多くは海外産で、日本のMSC認証を受けている漁業は12件に過ぎない 。

評価基準で変わってしまう資源状態

 ではなぜ四方を海に囲まれ、魚食文化が深く根付いている日本国内に認証水産物が少ないのか。それは、サステナブルと呼ぶにふさわしい国産の水産物自体が少ないことが理由の一つとして挙げられる。

 水産庁の委託により国立研究開発法人水産研究・教育機構が実施した2020年度の資源評価対象魚種119種のうちの42種66系群の中で、「高位」と評価されたものは23%に過ぎない。「中位」が24%、残りの53%が「低位」との評価になっている。

 しかもこの「高位」「中位」「低位」評価は、現在の水産庁長官自身がかつて語っていた通り、原則として過去20年等といった直近数十年の資源状態をベースに「高位」「中位」「低位」と3分類しているため、「20年間、例えばずっと資源が悪ければ、結果的にはそれが普通の状態になってしまう 」。言い換えれば、資源量が数十年以上前に激減しているが、そこから低迷状態であり続けると、資源状態は「中位」と判断され、少し上向けば「高位」と評価されてしまうのだ。

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