2024年2月29日(木)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2022年6月20日

重い腰を上げMSY管理に向かうも、道は険しい

 右肩下がり一直線のわが国漁業に対する危機感と問題意識を背景に、国もようやく重い腰を上げた。2018年12月、70年ぶりに抜本的に改正された漁業法が公布され、20年12月に施行された。

 改正された漁業法は第11条において、農林水産大臣に資源管理の目標等を含んだ「資源管理基本方針」を定めるよう求め、第12条において当該資源管理の目標は、資源評価が行われた水産資源についてMSY等の値を定めるよう求めている。また、第9条4項において「農林水産大臣は、資源評価を行うに当たっては、全ての種類の水産資源について評価を行うよう努めるものとする」と定めた。

 改正漁業法の施行にあわせて水産庁は20年9月に「新たな資源管理の推進に向けたロードマップ」を決定。MSYベースの資源評価に基づく資源管理を推進し、資源評価対象魚種を200種程度に拡大すると明らかにしている 。あの一見不可思議な「高位」「中位」「低位」評価から徐々に切り替えてゆくことになる。

 表がこれまでMSYベースの評価が行われた資源の一覧である。親魚の量が十分多く、漁獲圧も適正な程度に低く保たれているのは、マアジ(対馬暖流系群)、スケトウダラ(太平洋系群)、ズワイガニ(富山県以西の日本海沿岸)など6つのみである。

 親魚の資源量は足りているが漁獲圧が強すぎるものが2つ、漁獲圧は十分低いが親魚の量が少なすぎるものが7つ、親魚の資源量も少なく、漁獲圧も高すぎるという二重の意味で乱獲に陥っているものがウルメイワシ、カタクチイワシ、マサバなど11にのぼっている。ただ、現状ではこうしたMSYベースでの資源評価が実施されたのは17魚種・26系群にとどまっている。

舵が切られない資源評価への予算投入

 資源管理の最も基本的な前提となるのは、科学的な資源評価である。これなくしては、何も話が始まらない。ところが、国の予算ではこれに資源が十分投入されていない。

 漁業法の改正を通じた水産改革を受け、水産予算は18年度が前年度補正を合わせて2327億円であったものが19年度には3000億円を突破。22年度当初と21年度補正の合計は、3200億円と大幅に増額されている。

 水産庁は19年度当初予算として、前年度45億円だった資源管理予算を197億円への増額を要求したが 、結局得られたのは前年度補正と合わせて75億円。22年度も「資源調査・評価の充実等」の項目にある予算は補正と合わせても108億円にとどまった。水産予算の僅か3.4%に過ぎない。

 一概に比較できないかもしれないが、米国海洋大気庁海洋漁業局の22年度予算は10億8100万ドル(1419億円)と日本の水産予算の半分であるが、このうち「水産研究及び管理(fisheries science and management)」に充当されているのは6億2700万ドル、1ドル120円と換算しても843億円にのぼっている 。評価されている資源も500近くにのぼる 。

 国から資源評価を委託されている水産研究・教育機構の状況も深刻である。同機構の中山一郎理事長によると、国からの運営交付金のうち人件費以外の部分が毎年減額された。特に調査船や建物など設備を整備する補助金が06~12年度までは年間15億円あったものが直近には3億円に激減しており、その結果、設備の老朽化と利用停止が進み、調査船も9隻から廃船により7隻に減少していると窮状を訴えている 。


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