2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年10月4日

 更に懸念される動きとして、9月8日、ソガバレの与党は、議会選挙を2024年まで延期する議案の議会承認を強行可決した。選挙は憲法上23年5月までに実施する必要があり、今後憲法改正が行われる可能性もある。

 延期の理由につき、ソガバレは、選挙とパシフィック・ゲームズ(南太平洋諸国のスポーツ大会)を同じ年に行うことは設営上不可能だと説明している。野党は反発し、市民からも反対の声が出て、暴動を心配する向きもある。

 暴動になれば却って中国との安保協定の発動と中国の介入の口実を与えかねない。既に中国警察の顧問が駐在し、中国供与の機材も配置済みである。ソガバレの独裁的政治手法が益々顕著になり懸念される。

さらなる中国からの債務も

 4月締結の中国との安保協定も未だ公表されていない。パシフィック・ゲームズや選挙の費用の目途も付いていないと言われる。豪州は予定通りの選挙実施の費用支援を申し出たが、ソガバレは内政干渉だと非難した。

 スタジアム等関係施設の建設が目下中国の援助で中国の企業により進行中である。スタジアム建設費用は5300万ドルといわれる。当初2019年7月には、台湾がスタジアム等の建設を支援することで合意していたが、同年末にソガバレが外交関係を台湾から中国に変えたため、この合意は破棄された。

 ソガバレ政権は優先順位を間違え、対中債務のリスクもわかっていないようだ。中国は無思慮なやり方を続けている。なおパシフィック・ゲームは当初23年7月開催予定だったが、準備の遅れにより11月からの開催になった。

 中国は通信網建設でも合意した。8月18日、ソロモン諸島政府は、中国から6600万ドル(約90億円)の融資を受けることで合意したと発表した。ファーウェイが電波塔161基を建設する。通信は中国が重視する優先分野の一つであり、ソロモン諸島の市民を監視することにもなる。将来、融資返済も問題になるだろう。

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