2022年12月9日(金)

世界の記述

2022年10月5日

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井上雄介 (いのうえ・ゆうすけ)

ジャーナリスト

早稲田大学法学部卒業。1989年、天津南開大学に留学。通信社記者を務めた後、経済メディア編集者としてシンガポール、上海、台北、広州で勤務。衆議院議員政策秘書などを経て現在に至る。

 世界で自動車の電動化が急速に進む中、台湾の電気自動車(EV)産業が大化けする可能性が出てきた。

 世界最先端の半導体産業とITに加え、リチウムイオン電池も、生産大国ということから、欧米への輸出が急増している。自動車産業の蓄積もある大手メーカーが電子機器製造受託サービス(EMS)世界最大手の鴻海(ホンハイ)精密科技集団と組んでEV の製造に乗り出し、予約約販売を始めた。

(Blue Planet Studio/gettyimages)

 台湾経済省も、国内EV産業のてこ入れ策を示し、2025年の産業規模を1兆台湾元(4兆5000億円)と見込むなど、鼻息が荒い。

10分で5000人が申し込み

 台湾紙の経済日報によると、日産自動車の提携先である老舗の自動車大手・裕隆集団と、鴻海の共同出資会社、鴻華先進科技(フォクストロン、新北市)は9月1日、初めて開発した電動乗用車「モデルC」の予約販売を始めたところ、手付金がわずか1000元(約4500円)だったことも手伝って10分で約5000人の申し込みが殺到。1日で1万人を超えたため、予定を早めて翌日には受け付けを打ち切った。23年10~12月の納車を予定している。

 「モデルC」を販売する裕隆集団傘下の自主ブランドメーカー、納智捷汽車(ラクスジェン・モーター)によると、「n7」(モデルC の正式名称)は、30分の急速充電で700キロメートルの走行が可能。車長4.64メートル、ホイールベース2.86メートル。7席の広々としたキャビンが特徴となっている。

 「n7」は、ホンハイが米アップルのiPhone(アイフォーン)などで培った、数十年にわたる電子機器製造受託の経験を活用。自動車を各要素に分割した上、共通の基本骨格に従って組み立てる、モジュール化プラットフォーム方式で本格生産する。「n7」の量産開始は、台湾EV業界にとって飛躍の第一歩とみられている。

 フォクストロンのEVは乗用車だけでない。今年3月から、電動の商用バス「モデルT」を南部高雄市と路線バス会社に納入した。台南市でも試験運行が始まり、年内にも正式運行が始まる見通しだ。

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