米国は高性能チップ製造の国内回帰を進める一方で、今回の規制に至ったが、中国による高性能チップの獲得とその製造能力の進歩を遅らせる努力の分水嶺をなすもののように思われる。これまでもHuawei のような安全保障の観点から懸念のある個別企業に対して規制を課して来たが、今回は、中国全体を対象として規制の網をかけることとしたのが、最大の特徴だと思われる。
それを上述の「Foreign Direct Product Rule」と「US persons」の規制、その他によって徹底しようとしている。その背景には中国の軍民融合の戦略を米国が強く意識していることがあるのは間違いない。
注視すべき中国の軍事開発の動き
今回の規制の効果は徐々に明らかになってくるだろうが、中国に対して大きな圧力となるだろう。もとより、効果は規制を厳格に実行するのか、あるいは実行し得るのかによるだろう。
外国企業からのチップや製造装置の流出がどうなるのかの問題もあるし、米国企業あるいは同盟国の関係企業に対する影響も大きいだろう。中国市場は Applied Materials の収益の33%、Intelの27%、Lam Research の31%を占めている。
フリードマンの論説は、米国が半導体を巡って中国と衝突し海図のない海に突入したとして、先行きに些かの不安を表明している。ハイテク分野での中国とのデカップリングの先に何が待っているのかとの問題はあるが、習近平の中国が軍民融合の加速化による軍の近代化を目指している状況にあって、今回の規制強化は必要だったと言うべきであり、日本を含む同盟国も等閑視すべきではないだろう。