10月19日付のワシントン・ポスト紙で、同紙コラムニストのデイヴィッド・イグネイシャスが、中国共産党大会の活動報告について、不吉な警告を発するものだと強く警戒している。
イグネイシャスは、10月16日の習近平の活動報告について、
① コロナ等の施策につき謝罪するどころか、自分の政策を自賛し反対派には侮辱で対応した、
② 習近平は近年見られる間違った方向に今まで以上の速度で進むだろう、
③ 共産党の統制が嘗てない程強化されている、
④ 習近平は「ネオ毛沢東的な」国営企業重視政策と起業家の規制政策を弁護した、
⑤ 台湾について、「我々は決して武力行使を放棄すると約束はしない」と述べた、
⑥ 習近平は、現代の皇帝になった、
と警告する。
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イグネイシャスの分析と懸念は、同意できる。第一印象は、全体を貫く強硬、攻撃的な姿勢である。国内の批判派を厳しく攻撃し、党内の反対派批判は厳しい。党指導部の思想統制が激化している印象を受ける。
台湾に対する言及は2カ所にある。「I.過去5年の活動」の部分では、「中国は台湾の完全な再統一を強力に進め、ひとつの中国の原則に対する国際社会のコミットメントを固めて来た」と述べた。しかし「XIII.ひとつの中国、二つの体制と国家的再統一」の部分では、「台湾問題は中国人が解決すべき問題だ」、「平和的再統一を求めるが、我々は決して武力行使の放棄は約束せず、必要な全ての措置を取るとの可能性を留保する」と述べ(大きな拍手が起きた)、「海外勢力による干渉と台湾の独立を求める分離主義者」を非難した。
鋭い物言いである。台湾に関する対立を強く予見させる。香港を繰り返させてはならない。香港では、西側の対応が遅れ(特に返還協定の当事者である英国)、中国はアッと言う間に既成事実を作り上げた。