2024年5月27日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年11月8日

 習近平が、行動の時が遅れれば遅れる程統一が難しくなると焦燥感に駆られているとしても驚かない。

 国家政策の中で経済が後退し、政治とイデオロギーが前面に出てきているような印象を受ける。党指導部や理論部署において、経済発展が共産党の一党支配に段々と大きな危険になっていると受け止められ、その危険に厳しく身構えているような印象を受ける。

「ネオ毛沢東的」状態は世界にとって良くない

 客観的に見ても、共産党一党支配と経済発展は長期的に両立しない。それは中国の基本的矛盾だろう。平和崛起の今回の局面は終わるのかもしれない。今後は、経済発展よりイデオロギー・政治統制に重点を置くように見える。

 10月23日に発表された7人の政治局常務委員から経済担当者は居なくなり、ほぼ習近平側近の政治担当者ばかりになった。理論・イデオロギー担当の王滬寧(再任)の役割に関心が持たれる。

 党大会直前の10月13日、数人の抗議者が「ロックダウン反対、文革は要らない」、「独裁者を排除せよ」等と書いた垂れ幕を環状道路の橋の欄干に掛ける事件が起きたという。中国の警察や司法部門の幹部は、10月19日に、「習近平国家主席の法治思想は、党創立100年の歴史から提起された、最も全面的で系統的、科学的な法治思想の体系だ」と述べ、共産党による一党支配体制を脅かす勢力を取り締まる姿勢を示した。習近平の第3期は、文革直前のような局面になるリスクがあるというのは言い過ぎだろうか。

 更に、10月22日の党大会閉幕式では異例のことが起きた。胡錦濤が、途中退席させられたように見えた。同日夜新華社は体調不良だったとツイッターに書いた。しかしビデオでは胡錦涛は退席を拒んでいるようにも見える。AFPによれば「習氏の机にある書類を胡氏が取ろうとするのを習氏が押さえて防ぐ場面も映っていた」という。

 人事が絡んだ不満や路線闘争(新常務委員からは共青団出身の委員いなくなった)が背景にあるようにも思えるが、正確なことは分からない。中国が「ネオ毛沢東的な」状態になることは、世界にとっても良いことではない。

   
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