2024年4月16日(火)

経済の常識 VS 政策の非常識

2022年11月30日

ワクチン接種とともに感染の波は収まる

 図1は、7日間平均の1日当たりのワクチン接種回数と感染者数と死亡者数(作図のために100倍してある)を示したものである(図では、第1波から第4波が分かりにくいので矢印で図に書き込んである)。21年7月の第5波の感染を見ると、第1回と第2回のワクチン接種によって波が収まったように見える。第6波も3回目接種によって、第7波も4回目接種によって収まったように見える。第8波も5回目接種によって収まるのではないかと予想される。

 ここで2回接種までは感染の波の前に接種しているが、その後は波と同時に接種しているように見える。しかし、接種が進むとともに波が収まるのは同じである。波と同時に接種するようになったのは、ワクチンの副反応で熱が出たり、腕が痛くなったりするので接種を忌避するが、流行ってくるとやはり打っておこうという人が増えているからだろう。

重症化を抑えられれば、医療費も削減できる

 ワクチン接種を避けるのは、感染の症状が軽くなっていることもあるかもしれない。図2は、コロナの致死率と陽性率を示したものである。致死率とは、コロナで死亡した人÷感染者数である。

 それぞれは7日間平均の数字であるが、コロナにかかってから、例えば1カ月後に死亡した人の数を現在の感染者で割っている数字である。すると、感染者が増加したときに遅れて死亡した人を、波が去って減少した感染者数で割ることもありうる。20年5月の40%という異常に高い致死率はそのような数字である。

 しかし、長期に見れば、このような不合理はなくなる。その後の致死率は数%に低下し、現在は0.12%(直近1カ月の平均)である。

 しかも、この致死率はさらに低い可能性がある。なぜなら陽性率があまりにも高いからである。陽性率とは、感染者÷検査した人である。検査した人のうち、感染者があまりにも大きければ、感染したけれども検査を受けていない人がいる可能性が高い。


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