2024年4月15日(月)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2022年12月1日

崩れ去った鉄壁の世論支配

 その怒りは立場の違いを乗り越えての集会参加という形で現れただけではない。SNSや海外華字メディアの報道によると、ウルムチビル火災後、中国では封鎖対象となったマンションで住民たちの抗議が続いているという。政府が定めたガイドラインよりも厳しい隔離や封鎖(そもそも避難経路の施錠は違法行為となる)をなぜ行っているのか、説明せよという突き上げだ。

 北京市ではマンションの入口をバリケードなどで封鎖しないようにと、市政府が通達を出した。人々の怒りを受け、「過度防疫」(過剰な防疫)を改める動きが広がっているようだ。

 そもそも、中国政府は以前よりむやみな隔離や封鎖は行わないようにと再三通達していた。ただし、この通達はポーズにとどまっていたとみるべきだろう。「過剰で暴力的なゼロコロナ対策はするな」と「感染者は出すな」という二つの指示を出していたわけだが、地方政府が前者に違反しても小言をもらう程度、しかし感染爆発を招けばクビが飛ぶのが実情だったからだ。

 最後に「白紙革命」の今後について展望したい。さまざまな思いの人々をつなぐ、最大の結節点が追悼である以上、この動きが拡大し、ゼロコロナの全面解除や民主化要求につながる可能性は小さいとみている。そうした主張を続ける人は残るだろうが、動員力は低下していくのではないか。

 だからといって、「白紙革命」の影響と意義は無視しうるものではない。習近平体制は2012年の成立以来、世論コントロールの強化に全力を注いできた。その成功に大きな自信を持っていたからこそ、国民の反発や不満を軽視して人々に犠牲を強いるゼロコロナ対策を強行できてきたとも言える。

 今後はゼロコロナの看板を下ろすことはないにしても、ゼロコロナ対策の遂行と、人々の不満への対処の双方とを天秤にかける必要があるだろう。さらに問題はコロナにとどまらず、世論を完全に管理下に置いたとの自信が幻想であったことに改めて気づかされる機会となったのではないか。

   
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