2024年4月15日(月)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2022年12月1日

「ゼロコロナ対策の影響を自分事として共感」

――中国共産党を批判するような抗議集会は近年、きわめてまれです。なぜ参加者は集まったのか?

 11月24日の新疆ウイグル自治区ウルムチ市のビル火災の影響が大きい。翌25日にウルムチ市でデモが起きた。非常に勇気のある行動だ。彼らに「あなたたちは孤独ではない、ここにも仲間がいる」という思いを持つ人が多かった。

――集会のメッセージはなにか?

 「追悼したい」「強圧的なゼロコロナ政策をやめて欲しい」という思いの人と、「中国でも普遍的人権を実現したい」「中国共産党を打倒したい」という思いの人、だいたい半々だった。意見は異なるが、ウルムチのビル火災とその後のデモに対して、「仲間がいる」と表明したいという思いでは一致している。

――集会の参加者はほとんどが30歳以下の若者だ。豊かな中国を享受し愛国心が強い世代と言われるが、なぜ立ち上がったのか?

 確かに中国の若者の多くは、ウイグル族や香港の問題について冷淡だったと思います。自分の利害に関係なく、共感が広がらなかったことは事実です。ウルムチ市は新疆ウイグル自治区にありますが漢民族が多い街です。また、ゼロコロナ対策の影響は民族に関係なくすべての中国人に及んでいます。こうした背景から自分事として共感する人が増えたと思います。

焼け死んだのは私だったかもしれない

 11月30日の新宿駅南口集会の参加者に話を聞くと、こうした抗議活動には初めて参加したという人が多かった。彼らを突き動かしたのは、10人が死亡したとされるウルムチビル火災の凄惨な状況だろう。インターネットを通じて拡散した動画には、燃えさかるビルの中から「助けて!ドアを開けて!」という絶叫が響き渡るものがあった。

 中国では外出制限対象となったビルの入口や避難通路を施錠し、外に出られないようにしているケースが少なくない。一歩間違えれば自分たちが同じ目にあっていたかもしれない。海外在住であっても、親族や友人が同じ状況に置かれていたかもしれないとの連想はすぐに働く。

 また、「消防車が敷地に入れない。遠くから放水しているが水が届いてない」との音声も広がった。コロナの感染が広がった地域では封鎖式管理と呼ばれる体制が採用され、マンション敷地の入口は外部から入れないようにバリケードが作られていることも多い。

 こうした状況を考えると、10人の死亡は人災ではないか。そう考えるのも当然だ。この怒りに油を注いだのが事故翌日のウルムチ市政府の記者会見、「住民たちは避難通路を知らず、犠牲になった」との発言だ。消防安全を無視したコロナ対策が中国全土で採用されているのは誰もが知っているのに、そんな事実などまるでなかったかのような発言は、多くの人の怒りをかきたてるものとなった。


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