2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年2月2日

 日本が米国にTPP再考を求め続けていることは、良いことだ。岸田総理は1月13日の日米首脳会談で日本の立場を伝えたと説明されている。

 また同日の米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院(SAIS)講演では、TPPにつき非常にきちっとした形で、米国の復帰が「決定的に重要」であり、米国と一緒に考えて行きたいと述べた。SAIS講演はこの点も含め良い、力強い講演だった。

 岸田総理の訪米や日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)は、大きな成果を達成した。

TPPもさらにアップデートすべし

 上記社説が依拠しているカトラーとクリート・ウィレムス(トランプ政権下で米国家経済会議<NEC>副委員長を務める)のアジア・ソサエティ報告(全35頁)は、今後TPP再考の議論には必読の文書になるだろう。米国や加盟国関係者の意見を聞き纏めたものだという。

 報告書は、現行TPPにつき12項目の規定強化や追加、アップデートのための再交渉を通じて、米国はTPPに参加すべきだとする。北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)再交渉の結果や議会承認を参考に、TPPに同様のレベルの規定を盛り込むことにより米国内をクリアすることが戦略になっている。

 12項目には、①原産地証明の域内コンテンツの45%以上への引き上げ(特に自動車で重要)、②労働、環境規定の強化、③非市場経済国の規定近代化、④通貨操作に関する規定強化、⑤知財規則の改善、⑥サプライチェーンに関する新章追加などが含まれている。

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