シミュレーションは24勝2敗の成績だが
先のシミュレーションの結果は、24勝2敗とまずまずの成績のように思われる。
2敗するシミュレーションは、日本が自由に米軍に対して基地の使用を認めなかった場合だ。その他のシミュレーションは、自衛隊の基地が正常に機能するとの前提に立っているが、米軍は、自衛隊にそもそも継戦能力があるのかを疑っている。
米軍の危機感は相当なもので、遅くとも25年には、中国の台湾侵攻が行われるとの見方が大半を占めているようだ。自衛隊との非公式な協議の中で、自衛隊に対して25年までに継戦能力の整備を強く求めているのだ。
例えば、米軍が指摘する某司令部が存在する海上自衛隊の基地は、外部電源が断たれると数時間しか基地の機能が維持できないという。有事に際して、中国人民解放軍あるいは、日本国内にすでに浸透している中国共産党統一戦線工作部員による電源供給路の破壊が行われる事態は容易に想像がつく。
基地の機能を有しない自衛隊基地
基地が基本的機能を有しなくなる事態は、海上自衛隊だけの問題ではない。ある航空自衛隊基地では、敷地内に私鉄が通っており、自衛隊員の宿舎や食堂と格納庫や滑走路とを分断している。宿舎と格納庫や滑走路を繋ぐのは1箇所の踏切だけだ。
かつて、米国政府高官が基地を視察し、敷地内に私鉄が走っているのを見てたいそう驚いたそうだ。米軍では考えられないことだからだ。早速、踏切に変えて高架橋をかけることや地下道を設けることが議論されたが、予算がないということで、今日までそうした状況が続いている。
問題は、ほかにもある。航空機の燃料タンクも沿線に埋設されていることだ。列車を停止させることができれば、燃料タンクへも容易に近づくことができる。帝国陸軍航空隊が航空燃料輸送のために施設した鉄道が、その後民間鉄道会社に引き渡された結果だが、基地としての機能の見直しが行われなかったために、非常に脆弱な状態が続いてしまっている。
中国が有事の際にテロを企て、列車を踏切で停止させたり、燃料タンクを爆破することができれば、航空基地としての機能が停止することは目に見えている。
また、基地周辺のマンションの最上階には、中国の監視員が住んでおり、毎日、地対空ミサイル「パトリオット(PAC-3)」の出撃状態を監視しているとされている。
ちなみに同基地は、一部の区間を歩哨犬が守っているが、犬は鎖で繋がれ、不審者がいたとしても吠えることしかできない。まるで今の自衛隊を象徴しているかのようで情けない。
日本が本気で防衛を考えてこなかったことが、米軍に露呈しているのだ。