2023年2月2日(木)

21世紀の安全保障論

2023年1月23日

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吉富望 (よしとみ・のぞむ)

日本大学危機管理学部 教授

1959年生まれ。防衛大学校卒業後、陸上自衛隊に入隊。陸上幕僚監部、防衛省情報本部、内閣官房内閣情報調査室、防衛大学校教授などを経て2015年退官。拓殖大学大学院国際協力学研究科修士課程修了、博士後期課程(安全保障専攻)単位取得退学。主著に『防災をめぐる国際協力のあり方』(共著・ミネルヴァ書房)。

 2023年1月11日、ワシントンで開催された日米安全保障協議委員会(2プラス2)において、沖縄県に駐留する第12海兵連隊を25年までに第12海兵沿岸連隊(Marine Littoral Regiment:MLR)に改編することが確認された。この改編によって在沖縄米海兵隊は大きく変質する。

米海兵隊は改編を進めており、沖縄の立ち位置も変わろうとしている(DVIDS)

海兵沿岸連隊とは

 海兵沿岸連隊は、米海兵隊の将来像を示す文書「Force Design 2030」(2020年3月公表)で登場した米海兵隊の新たな戦闘部隊である。

 海兵沿岸連隊は対艦火力、対空火力、近接戦闘機能、情報機能、補給支援機能、指揮統制機能などを有し、情勢緊迫時や開戦時に海洋要域の島嶼などに緊急展開する。米海軍の行動に脅威を与える敵の艦艇などの戦力を減殺し、海軍の展開および攻勢作戦を支援する。

 遠征前方基地作戦(Expeditionary Advanced Based Operations:EABO)と呼ばれるこの戦い方は米海軍が敵国の沿岸海域での主導権を取り戻すことを狙った新たな戦い方であり、海兵沿岸連隊がその中核となっている。

 海兵沿岸連隊が登場した背景は、近年、米国の非友好国の多くが長射程の対艦ミサイルなどを保有し、それらの国の沿岸海域で行動する米海軍艦艇への脅威が高まっていることにある。特に中国軍は海空戦力およびミサイル戦力を増大させており、米中間の武力紛争に際して空母などの米海軍の水上艦艇が東シナ海や南シナ海などで安全に行動することは難しくなっている。こうした状況を打開するため米海兵隊は、沿岸海域での米海軍の行動を支援する任務に特化した海兵沿岸連隊の創設を打ち出した。

 このため、海兵沿岸連隊は長射程の地対艦ミサイルを保有し、連隊内の歩兵や地対空ミサイルは対艦ミサイルの防護が主要な任務となる。また、海兵隊のF-35B戦闘機は、海兵沿岸連隊から燃料・弾薬の補給を受けて対艦・対空戦闘を行うこととなる。


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