2023年1月30日(月)

#財政危機と闘います

2022年12月16日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

関東学院大学経済学部教授

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。15年4月から中部圏社会経済研究所研究部長を経て、22年4月より現職。

 5年後の2027年度に国内総生産(GDP)の2%相当の43兆円に達する防衛予算の財源を巡り、歳出改革や決算剰余金などを活用してもなお不足する1兆円あまりを法人税、所得税、たばこ税を増税することが、16日、与党の2023年度税制改正大綱で決定される見通しだ。

防衛予算の財源について議論された自民党税制調査会の小委員会(時事)

 具体的には、24年以降の適切な時期に、法人税については、納税額に4%から4.5%を一律に上乗せする。所得税については、当分の間、税率1%の新たな付加税を課す(ただし、「復興特別所得税」の税率を1%引き下げて、現在2037年までの課税期間を延長)。たばこ税については、1本あたり3円相当の引き上げを段階的に行うとした。

 防衛費の増額を賄う財源に関しては、当初、自民党内では増税ではなく国債で賄う声も強かった。それに対し岸田文雄首相が「未来の世代に対する私たち世代の責任」、「われわれ自らの責任」など強い表現を用いつつ増税への意志を示したことで、最終的には増税でまとまった。

 しかし、もし赤字国債発行による財源調達が「未来の世代に対する私たち世代の責任」を果たしていないということであれば、毎年十数兆円も赤字国債の発行に頼って財源を賄っている社会保障が一切おとがめなしで、たかだか1兆円の赤字国債発行にとどまる防衛費で上や下への大騒ぎというのも、バランスを欠く。

 そうはいっても、岸田首相が赤字国債で防衛費の財源を賄うことを「未来の世代に対する私たち世代の責任」を果たしていないと明言されたことは、今後の社会保障制度改革を考える上では一歩前進と言えよう。

 ただし、筆者は防衛費増額のためにわざわざ増税する必要はないとの立場だ。日頃、財政健全化を主張していることを考えると、読者の皆さんは些か奇異に感じるかもしれない。


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