24回のゲームを行ったほとんどの場合、中国の台湾侵攻は失敗したという。しかし、米国や日本の艦船などにかなりの喪失などが出たと報告されているのは、このウォーゲームのシナリオが最も正面的な紛争であることに理由があるのであろう。封鎖の場合には違った結果になるものと思われる。その場合多くの展開が想定されるので、結果は一層数量的に測り難いかもしれない。
日米協力し対中抑止力強化を
現在の状況下では、中国が武力による現状変更(東シナ海、台湾や南シナ海など)をしないように、対中抑止力の一層強化が最も重要である。具体的には日米等が防衛力を強化し、協力体制を整備することである。
その意味で先般の日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)や日米首脳会談の成果は、抑止の強化に資する。また日本の防衛力整備の方針も抑止を強める。それと並行して、慎重、積極的な対中外交が必要となる。
政府が述べているように日中対話も進め、日本の見解を伝えていくことが重要である。例えば、いかなる中国の政策と行動が関係国に脅威を与えているか、防衛力強化は対中バランスの回復が目的であること、中国がレトリックと挑発的な行動を下げることが重要なこと、などである。長期的にはバランスの回復を通じて緊張の相互削減も可能となるだろう。
米国のブリンケン国務長官の訪中が、両国で合意されている。2月に訪中する予定という。他方、米国の新議会は、共和党強硬派が下院を支配し、米国の対中ムードは一層強硬になる可能性がある。下院には新たな特別中国委員会も設置されるようだ。バイデン大統領にとっては容易でないが、うまくコントロールしていくことが引き続き重要である。