台湾有事やインド太平洋戦略で最も重要な海軍の近代化は時間がかかり、その間、防衛線上のサモアやグアムなどの防衛体制や海兵隊の基地の準備が不十分であると指摘する。
そして将来の技術を待つのでなく、既存の法や技術、装備の活用を推す。例えば、日本の防空体制強化のために退役予定の弾道弾ミサイル防衛機能を有す米海軍の巡洋艦シャイロー、ヴェラ・ガルフなどに改善を加え日本に残すことである。
ギャラガーは、新委員会の委員長として次のような課題を挙げている。供給網の問題、抗生物質やレアアースなどの過剰な中国依存、中国の殺戮や軍拡への州の年金基金の流用、台湾の防衛強化やインド太平洋諸国との関係強化、共産党中央統一戦線工作部の介入、ロビイング法の甘さや米国の学術組織への影響力、米国の領土や経済安全保障を脅かす土地買収などである。
ギャラガーの基本姿勢は超党派である。早くから台湾防衛への戦略的曖昧さ政策の転換を主張し、バイデンが転換を示唆する発言をするとすぐに評価した。また同盟国や友好国との協力が不可欠なことも強調している。
民主・共和両党に国防費増額反対の議員も
435名中365名の賛同を得て同委員会が設置されたように対中強硬姿勢は超党派だが、両党とも国防費増額に反対する議員がいる。ギャラガーは、もし中国が台湾を支配するようになれば、日本やフィリピンを含む第一列島線が破られ、ハワイやグアムも脅かされる、中国は半導体という新たな武器を得る、そしてインド太平洋地域の国々は中国の臣下になると警告する。
こうした事態を防ぐには、米中戦争になっても米軍が決定的な利を得ると信じ、また平時においては、威圧を加えるのは無駄であると中国に思わせるほど米軍は強力でなくてはならないとする。それだけの軍事力を得るのは安くないが、ギャラガーはマティス将軍を引用し、米国には生き残りにかけるだけの経済力はあると、米中戦略的競争に勝利することの米国と国際社会にとっての重要性を強調している。
中国委員会はバイデン政権の政策に影響を及ぼすのは間違いない。ギャラガーの戦略的思考は注目に値する。