2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年3月3日

 この論説によれば、近くIAEAがイランの核爆弾数個分の濃縮ウラン備蓄に対して、非難及び国連制裁を再開する可能性を国連安保理に報告するとのことであるが、安保理でロシアと恐らく中国が拒否権を発動するのは確実であり、国連制裁の再開はおろか非難すら難しいであろう。しかし、イランと西側との関係がますます緊張するのは間違いない。

ロシアとの関係もより緊密に

 イラン・ロシア関係の緊密化については、ロシアがイランの領土を奪い続けた歴史から、イランの体制内でロシアへのドローン供与に反対があった。このことが示すように、本質的な関係改善ではないと見られるが、現状で両国は戦術的にますます接近する可能性が高い。

 報道によれば、3月にイランはロシアから24機のスホイ35戦闘機とS400地対空ミサイルを入手する由だが、そうなれば、イランの核施設に対する空爆がますます困難になり、イスラエルと米国の対応に変化をもたらす可能性がある。

 この論説は「対話と圧力及びペナルティー」を利用して、イランの核開発問題、ウクライナ情勢へのイランの関与、イランの域内情勢への介入、弾道ミサイル、ドローンの開発等の問題を包括的に解決することを提案しているが、具体的なアイディアは示されていない。

 今更、制裁は機能するとも思われないし、イラン側が反政府デモの鎮圧成功で強気となっている現状での実質的な対話は困難であろう。イランを巡る情勢はますます困難になり、偶発的衝突の恐れも高まっている。

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