2024年12月27日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年3月21日

 上記のエコノミスト誌の記事によれば、ロシアと中国の間の議論の焦点は砲弾にあるようである。ウクライナの戦争は主として砲撃の応酬で戦われている。双方とも大量の砲弾を急速に消費しており、ロシアの砲弾は恐らくほぼ払底していると見られている。

 中国にはソ連時代の砲に適合する砲弾の在庫があり、中国の支援が得られれば、この先、戦況を左右すると見られる春・夏の攻防において、ロシアにとって大きな助けになるであろう。

中国を「自制」させ得る要因とは何か?

 中国は殺傷兵器の支援を決めた訳ではないようである。中国は慎重に構えているというのがこの記事の見立てである。しかし、中国に自制を促すものがあるとすれば、それは何か。

 人民解放軍の職歴を有し現在は中国の清華大学戦略安全保障研究センター(CISS)の上級フェローであるZhou Boが英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)に一文を寄稿し、中国は中立を貫く、兵器をロシアに提供することはあり得ない、ロシアとの関係がいかに緊密であろうと同盟ではない、ウクライナ戦争で中国がロシアの側に立てば、第三次世界大戦の幕開けとなるなどと述べ、中国が戦争の終結に向けて建設的役割を果たすことを強調している。

 ここに描かれているのは、政権が世界に喧伝したい建設的役割を果たす中国の姿であろうが、それが、中国の自制の要因であり続けるかとなると心許ない。この記事が指摘するように、米欧との関係悪化も自制の理由の一つには違いなかろうが、どれほど強い理由たり得るかとなると疑問が残る。

 いずれにせよ、今後も引き続き警戒を要する。ロシアが戦場で苦境に立つ場合がある時、中国は決定的な選択を迫られるであろう。

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