2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2023年3月26日

身に付いた論理的思考力は一生もの

 中学受験というと、「たくさんの知識を覚え、たくさんの練習問題を解かなければいけない」というイメージをお持ちの方は少なくありません。そして、早くから勉強を始めた方が有利と思い込み、低学年の頃からたくさん勉強させるご家庭もあります。しかし、ここまで説明してきたように、近年の中学受験──、特に算数入試はその中身が大きく変わってきています。

 昨今の難関校の算数入試は、過去に出題された問題のパターンをもれなく覚えきるという勉強法では通用しなくなっています。問題パターンが何倍にも増えたことや問題レベルが30年前とは比べものにならない程に上がったことで、学習量勝負の勉強では立ちゆかなくなっていることが原因の一つです。

 また、多くの難関校では「どのように考えてこの問題を解こうとしたか」という思考のプロセスを見る問題にシフトチェンジしてきている事も見逃せません。算数が好きで得意になっていく子は、解き方のルールを理解し、自分のものにするという論理的に思考する勉強法が身に付いています。そういう子は、たとえ受験本番で自分がこれまで見たことのないような問題が出題されても、怯むことなく、問題文の情報を整理し、「ここまでは自分は分かっているな」という立ち位置から、最適な解き方を考えたり思い出したりしながら、自分の力で解いていきます。

 今持っている情報を整理し、「今分かっていることから次に分かることは何?」と、「答えが出るために分かっていなければいけないことは何?」という2つの思考を使い分けていきます。演繹的な思考と帰納的な思考の使い分けです。

 こうした力は、中学受験のみならず、大学受験でも、社会に出てからも必要な力です。つまり、一生ものの力になるということです。

 中学受験の勉強はそれをいち早く体験できる絶好のチャンス。そう思うことができたら、中学受験の印象は大きく変わると思います。2023年度の算数入試は、そう期待をさせてくれる良問揃いでした。

このように、昨今の中学入試でも顕著に表れていますが、いわゆる「論理的思考力」が大切である、ということは子どもにとってはもちろん、社会に出てもその重要性は変わりません。私たちはこれらを「本質的な理系力」と位置づけ、子どもたちがその力を身につけるためにどうしたらよいかのか、『理系が得意になる子の育て方』でより具体的な方法を提案しています。詳細はこちら
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