2024年6月20日(木)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2023年3月24日

今後に引きずる3つの懸念

 その一方で、今後の開催へ向けての懸念事項ということでも、3点、指摘しておきたい。1つは、ケガ人の問題だ。大会を盛り上げるにはメジャーの一線級の登場が期待される。だが、WBCで負傷したら、選手の「本業」である公式戦に影響が出てしまう。従来は、そのために球団も選手個人も、一線級の参加を渋っていたが、今回は巨額の保険をかけるということで、何とか参加が実現した。

 だが、そんな中で、メッツの抑えのエースとして巨額の長期契約を結んだばかりである、エドウィン・ディアス選手の悲劇という事件が起きてしまった。ディアス選手は、プエルトリコ代表として参加したが、戦勝の歓喜の輪が盛り上がりすぎて膝を負傷し、今シーズンが絶望となってしまった。

 この事件については、メッツ球団とそのファンの落胆は大きい。それだけではなく、恐らく次回のWBCへ向けて保険料の高騰を招くだろうし、一部球団と選手が参加を渋る理由となる可能性がある。

 2つ目は、メジャーの先発投手の問題だ。各球団は主戦級の先発投手の参加を渋り、結果的に主戦級の先発投手でWBCに出たのは、大谷選手とダルビッシュ有選手の2人だけとなった。ドジャースのフリオ・ウリアス投手もメキシコチームに参加していたが、公式戦が近づく中で球団が圧力をかけて準決勝以降での投球を禁止されている。

 大谷選手とダルビッシュ選手の2人は、とりあえずWBCでの負傷ということはなかったが、仮にこの2人の4月の成績が不振になると、やはり地元ファンからの批判は避けられない。栗山監督もそうした事情はよく知った上での、球数を含めたマネジメントをしていたと思われるが、この2人には開幕とともに大きなプレッシャーがかかるというのは、いかにも酷な感じがする。

 3つ目は、開催時期である。負傷の問題や、先発投手の疲労の問題を考えると、3月開催ではなく、シーズンもポストシーズンも終わった11月の開催ということが考えられる。

 確かに、その方が参加しやすいという選手の声もある一方で、11月のワールドシリーズ終了後は、徹底的に休養して身体のメンテナンスをしつつ、家族との時間を大切にするというのは、米国の野球選手の重要な「権利」と考えられている。この問題も容易に解答は出ないと思われる。

 もしかしたら、USAが野手中心のほぼドリームチームを組み、日本と中南米諸国のチームにも、主戦級のメジャーリーガーが参加する大会というのは、今回がギリギリの線であって、この線を守れれば上々であり、もしかしたら次回大会は一歩後退ということもあり得る。そうならないためにも広範な議論が必要だろう。


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