2024年12月23日(月)

スポーツ名著から読む現代史

2023年2月22日

 野球の第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が3月9日開幕する。21日に米マイアミで行われる決勝戦まで目の離せない試合が続く。

 栗山英樹監督率いる日本代表は大谷翔平やダルビッシュ有ら大リーガーに、最年少三冠王となった村上宗隆、完全男・佐々木朗希ら若い国内組の融合で世界に挑む。栗山ジャパンは3大会ぶり3度目の優勝に手が届くか。

〝最強〟メンバーで臨む栗山ジャパンを優勝を手にするのか(AFP=時事)

 大リーグ機構と大リーグ選手会が共催して大会が始まったのは2006年。シーズン開幕前という選手にとっては調整段階での開催は、真の世界一決定戦とは程遠く、審判の「誤審」騒ぎなど運営上の不手際も重なってドタバタ続きの大会だったが、王貞治監督率いる日本代表が苦しんだ末、初代王者になった。

 王ジャパンがたどった波乱に富んだ道のりを、チームに密着して記録したのが今回紹介する『屈辱と歓喜と真実と』(石田雄太著、2007年ぴあ)だ。04年のアテネ五輪で、日本は初めて全員プロで大会に臨み、銅メダルに終わった。その雪辱を果たそうと、WBCではイチローを中心に一丸となって戦い、見事にリベンジを果たした。

 だが、その足跡をたどると、まさに山あり谷あり。野球の母国である米国の「横暴ぶり」など、第1回WBCの舞台裏も読み取ることができる。

 すでに「歴史」の一コマとなった17年前の第1回WBCだが、栗山ジャパンの行方を占う上でも、同書から多くの教訓を読み取ることができる。


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