2022年12月9日(金)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2022年11月25日

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冷泉彰彦 (れいぜい・あきひこ)

作家・ジャーナリスト

ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。近著に『「反米」日本の正体』(文春新書)など。メールマガジンJMM、Newsweek日本版公式ブログ連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

 2023年に開業するプロ野球日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールド北海道」(北海道北広島市)のファウルゾーンの一部が規定より狭くなっているという問題が話題となった。現時点では、とりあえず現状のままで23年の公式戦を実施することとなり、同年のシーズンオフから2年がかりで改修工事を行うということとなった。

 この騒動だが、ストーリー全体がメチャクチャである。

日本ハムの新球場「エスコンフィールド北海道」。ファウルゾーンの一部が「規定違反」とされた(時事)

米国の「翻訳」のはずが、生まれた齟齬

 まず、そもそもの原因は日本の野球規則にある。日本の野球規則は、過去長い間米国の "Baseball Official Rules" を1年遅れで翻訳したものとして、これに独自の検討を加えるという運用をしてきた。

 例えば、米国のMLBには引き分けはないが、日本の場合は公的交通機関に終電があるので引き分けがあるなど、日本の事情により多少の独自性がある。コロナ禍対策も日米では違いがあった。

 けれども、その他の主要な部分に関しては、米国版の規則を忠実に翻訳して日本の規則としているはずであった。

 ところが、問題の箇所に関して、「米国版の "Rule 2.01 Layout of the Field"」では、“It is recommended that the distance from home base to the backstop, and from the base lines to the nearest fence, stand or other obstruction on foul territory shall be 60 feet or more.”と表現。

 対して、「日本版の『2.01 競技場の設定』」では、「本塁からバックストップまでの距離、塁線からファウルグラウンドにあるフェンス、スタンドまたはプレイの妨げになる施設までの距離は、60フィート(18.288メートル)以上を必要とする。」という訳が採用されているようだ。

 つまり「リコメンド(推奨する)」という表現が「必要とする」という強制規定になっているのである。

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