2024年4月19日(金)

解体 ロシア外交

2013年7月29日

 グルジアのイヴァニシュヴィリ首相は、イランとの善隣関係は維持したいが、国連決議を優先させたと言って言葉を濁すものの、グルジアがNATOやEUへの加盟可能性を拡大させるために、イランより欧米を選んだと見るのが妥当だろう。

 これらの動きに対し、米国政府は、近年、グルジアにおけるイラン企業の脱税が目立っていたという危惧を表明すると共に、イランの封じ込めを目指す中でグルジアの措置を歓迎し、今後、米国とグルジアの協力関係をさらに強めていきたいという声明を出している。

ロシアの基本路線は当面継続か 

 グルジアの例からも見られるように、最近、欧米によるイラン包囲網はさらに強化しているように思える。イランで保守穏健派の大統領就任を目の前にしてのこのような動きには、新大統領に対しても、欧米が厳しく対峙していく姿勢が見て取れる。

 そのような中で、ロシアはイランに対してバランス外交をとっていると思われる。つまり、大局的に見れば、ロシアはイランに対して友好的であり、保護国的な存在であるが、ロシアも常に欧米との関係を気にかけており、軍事協力など国際安全保障上大きな影響を持つ分野についてはかなり慎重になっていると考えられるだろう。

 イランのロウハーニー新大統領の動向には、ロシアのみならず世界が注目している。そのような中でも、イランの内政事情や中東の混乱に鑑み、イランと欧米の関係が短期間に改善する可能性はまずないと考えられる。ロシアの基本路線は、当面継続していくのではないだろうか。


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