アフマディーネジャード政権の約8年のロシアとの関係を振り返ることはしないが、ここ2カ月ほどの関係をみても、ロシアがイランの国際的な保護者であったことが見て取れる。
たとえば、6月11日には、プーチン大統領が「イランは核拡散防止条約(NPT)の取り決めを遵守している」とし、「イランの核活動に関して西側が主張していることを証明するものは一切存在しない」とイランを擁護した。さらに、国際原子力機関(IAEA)の最近の報告を引用し、イランの核活動の平和性を強調する発言を行った。
また、7月15日には、ロシア大統領府のシェフチェンコ人権委員会委員が、ヨーロッパの人工衛星によるイラン番組の放送停止は、言論の自由に違反すると述べ、加えて欧米によるイランに対する「メディアを通じた大規模な戦争」を批判した。
そして、ロシアは中国と共に、「イランによる弾道ミサイルの実験は国連安全保障理事会(安保理)制裁の違反」だとする根拠に基づく、対イラン制裁の拡大に反対する主張を続けている。今年7月の安保理理事会でも、昨年7月末のイランの弾道ミサイル・シャハーブの発射が安保理決議違反であるか否かという議論が紛糾した。国連の専門家委員会は、同実験が決議違反だと報告したが、結局、ロシアと中国の反対でその報告は認められなかった。米国はこの結果に落胆し、イランがシリア、レバノン、ガザ、イエメン、イラクで活動するグループに軍事支援をしていることも居徴しつつ、安保理と制裁監視委員会に対し、この違反行為への措置を徹底化するようさらに強く求めたという。
これに対し、ロシア側は、「イランと6カ国の協議の新ラウンドが、イランの新大統領の誕生後まもなく再開されること」への期待を表明し、イランの諸問題の解決方法は、外交的解決以外にはないという立場をとっている。
このように、制裁拡大は米国などが推進しているが、ロシア代表部は国連制裁監視委員会で、事実に基づかない性急な決定をとらないよう求めており、議論は平行線だ。なお、イラン政府は、疑惑を否定した上で、NPT核兵器不拡散条約の署名国として、核の平和利用の権利を有していると強調している。
さらに、アフマディーネジャードは7月1~2日にモスクワで開催されたガス輸出国首脳会議に出席。会議に先立ち、クレムリンでプーチン大統領の歓迎を受けたという。
武器供給契約破棄でロシア企業を訴える
従来からイランとロシアの軍事協力は国際社会から問題視されていた。だが、ロシアも対米関係などに配慮し、イランとの軍事協力を全面的には進めてこなかった。