家庭医としてどう対応すべきか
こうした心理的負担とQOL低下について、(それらをこれから経験するかもしれない)患者・家族に対してあらかじめ情報を共有しておくことは大事である。どうやったらそのダメージを少なくできるかの戦略を立てる際の共通の理解基盤となるからだ。
いじめについては、中立的立場、そして病気の予防のエキスパートという点から家庭医への相談が好まれているという海外からの報告もある。しかし一方で、この問題を取り扱うためのガイドラインや家庭医自身の教育の機会が不足していることを指摘する声もあり、家庭医にとってはなかなかタフな仕事となる。
M.N.さんはこう言った。
「私、歯科衛生士でしょ。小児歯科でも、虫歯、口臭、歯並び、矯正装置。いじめのターゲットには事欠かないんですよ」
「ああ、そうなんですね」
「ちょっとした違いがいじめの種にされる。今までは患者である子どもたちの話でしたけど、今度はわが子たちのことですね」
「そしてM.N.さんたち両親に及ぶことでもあります。まずは何でも相談して下さい」
「はい、そうします。一緒に考えてもらえることで少しホッとします」
「家庭医にとってこの領域はまだ未発達ですが、これから新しい知見が蓄積されていくことを期待しています」
■修正履歴(2023年5月25日10時34分)
1頁目の食物アレルギーの症状に「神経症状(頭痛、元気がなくなる、眠気、意識がもうろうとするなど)」を追加しました。