台湾駐米代表の簫美琴(事実上の大使)によれば、西側がウクライナを見捨てるならば、それは台湾の人たちに対して、あなたたちも世界の中で孤立しているというシグナルを出すことになり、北京の思うつぼに堕ちることになる。まさに、ウクライナと台湾の双方を国際社会が支持しているということは、米国およびその同盟国の信頼性を保証することと深く結びついているということだ。
マッカーシー米下院議長は、中南米訪問の帰路の蔡英文とカリフォルニアで会談した際、「自分たちとしては、ウクライナ支援と台湾支援の間に矛盾はないと思う」と述べ、米国にとって重要なことは全体の防衛力の強化をはかることだと述べた。
また最近、米インド太平洋司令官アキリーノは議会聴聞会において、「自分としては両方(台湾とウクライナ)への武力援助ができると信じている」と証言している。
ロウギンの言う通り、米国の対台湾武器輸出は遅れがちであり、バイデン政権はより迅速に対処しなければならない。米国は、ウクライナへと同時に、台湾への武器輸出も滞りなく行うことが強く期待されている。
日本も支援の両立は必要
中国は、6月19日からの主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)で、台湾問題が議論されることを強く警戒していたようだ。広島サミットでは、台湾海峡の平和と安定に向けてG7が結束することが共同声明として発出された。
岸田首相は「台湾海峡の平和と安定は日本だけではなく、国際社会全体の平和と繁栄にとって重要だ」と述べた。日本にとっては、ウクライナへの支援活動も、台湾海峡の平和と安定を脅かす覇権主義的な中国の動きを抑止することも共に重要な課題であるといえよう。
台北駐日経済文化代表処の謝長廷・駐日代表(事実上の大使)は最近、台湾海峡の平和と安定を一方的に変更することは、いかなる覇権国であっても許されるものではないとして、日本が「武力による一方的な現状変更に反対する」との立場を強く推し進め、この主張が国際社会の共通認識となることを願うと発言した。
いずれにせよ、WPの本論考を読めば、ウクライナを軽視することは台湾を重視することに繋がらないことを改めて認識させられるだろう。