5月10日付の米ワシントン・ポスト紙(WP)で、同紙コラムニストのロウギンが、米共和党の一部に見られる、台湾防衛を優先するためにウクライナ支援を削減すべしとの議論につき、台湾の指導者はそれに同意していないなどと批判している。
台湾防衛が優先されるべきだとして、ウクライナへの米国の軍事支援を削減するよう求めるホーリー上院議員を含む共和党員がいるが、台湾の指導者は、台湾の安全は米国のウクライナ支援が強固であることに懸かっていると言っている。
台湾の駐米大使館に相当する駐米台北経済文化代表処の蕭美琴代表は、「ウクライナの生存は台湾の生存だ」、「われわれの未来は密接につながっている」と述べた。
蕭は、また、「ウクライナ支援は、最終的には抑止に役立つ。ウクライナ支援は侵略者に費用を強いる」、「ウクライナに対する国際的な支援は、米国と同盟国との信頼性を確認する上でも不可欠だ」とも述べた。
議会は今秋、ウクライナに大規模な支援を行うか、再び決定を迫られる。2024年の共和党の大統領候補指名で有力なトランプ前大統領とデサンティス・フロリダ州知事は、米国のウクライナへの援助継続に疑問を呈している。
マッカーシー下院議長など共和党幹部を含む多くの米当局者は、ウクライナは台湾防衛を損なっていないという点で、蕭に同意している。マッカーシーは「ウクライナ支援と台湾支援との間で緊張はない」、「われわれに必要なのは米国での武器製造拠点の拡大だ」と語った。米国の台湾への武器輸出が遅れているのは事実であり、バイデン政権は対処を加速させるべきだ。米インド太平洋軍のアキリーノ司令官は、「平和を維持するには、(ウクライナと台湾支援)両方をしなければならないと信じている」と証言した。
ウクライナを見捨てて台湾に集中するという考えは、ウクライナが成功しなければ欧州での戦争は悪化し米国の関与が増えることになるので、筋が通らない。
中国がプーチンの戦争遂行に多大な支援を行っていることは、習がウクライナの勝利は中国にとって良くないと考えていることを示している。ロシアと中国は共謀して独裁的な侵略を支持している。米国、欧州、ウクライナ、台湾は、結束して反対しなければならない。
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「ウクライナの生存は台湾の生存そのもの。ウクライナの成功は台湾の成功そのものである。両者は密接にからみあっている」というのが、台湾の駐米代表・簫美琴の言葉である、とWPのロウギンが述べている。最近米国議会において、米国は台湾を守るためにウクライナへの支援を減らしても良いという二者択一的な議論が出ていることに警鐘を鳴らしている。