風力発電設備については、やはり中国が世界最大の導入国であり、風力部品のナセル、タワー、ブレードの中国の製造能力の世界シェアは図-11の通りだ。
中国製品がなくては、世界の再エネ設備供給に支障が生じる。EUも米国も強権国家中国依存を抑制するため自国あるいは同盟国内での調達比率を増やす計画を立てているが、再エネ設備の必要量が大きく増える中で、脱中国部品、製品は難しい。
世界が脱炭素を加速すれば、中国依存も高まることになる。
どうする日本
日本も他主要国と同じく、洋上風力を中心に再エネ導入増の方針を打ち出している。国内での部品、製品の製造を狙っているが、既に部品供給のネットワークが世界的に構築されている中で、競争力のある部品、製品の供給は難しい。事業者は中国から価格競争力のある設備を導入することになる可能性が高い。
脱中国には実務面で困難が伴う。脱炭素と脱ロシア、脱中国を同時に進めるのであれば、再エネに大きく依存することができない現実を直視すべきた。
エネルギー安全保障、自給率向上のための日本の戦略は限られている。一つの方法は、米国が開発を進めるSMRの導入により中国依存の軽減を図ることだ。SMRからの電気で水素を製造することも可能だ。
部品供給を含め真剣にエネルギー安全保障問題を考える時期にきている。