2024年5月10日(金)

World Energy Watch

2023年6月22日

中国で爆売れするEV

 中国は世界最大のEV市場だ。IEAによると、昨年の中国のEV乗用車の販売台数は約590万台。EVのシェアは約29%だった。トラックなどの商用車を含めるとEVの販売台数は600万台を超える。

 中国汽車工業協会のデータでは今年5月のEV乗用車販売台数は約69万台。昨年同月比61%増となり、乗用車販売に占める比率は33.6%。販売される乗用車の内3台に1台以上がEVだ。今年後半にはEVシェアは40%に達すると予測されている。

 1月から5月の累計販売台数は、BEV約206万台、PHEV80万台、合計286万台。昨年同期比47%増、シェアは32%になる。販売台数とシェアは右肩上がりだ(図-1)。

 今年1月から4月に最も多くのEVを販売したのは、日本での販売も開始したBYD(比亜迪)グループだ。シェアは38.1%。中国で生産も行っているテスラが続くが、シェアはBYDの4分の1以下の9.3%しかない。3位以下もSAIC(上海汽車集団)グループ7.6%、GAC(広州汽車集団)6.6%、吉利‐ボルボ5.3%と、中国企業が続く。

 中国製EVが市場シェアを伸ばせば、販売面の影響を受けるのは内燃機関自動車だ。EVの品揃えが少ない日本メーカーの販売台数が低迷し始めた。調査会社マークラインズによると、1月から5月の中国ブランド車のシェアは53.8%、販売台数は前年同期比22.6%増。

 一方、日本ブランド車のシェアは15.2%。前年同期比マイナス18.5%だ。影響を受けるのは日本メーカーだけではない。中国製EVが既に市場に浸透し始めた欧州では日本以上に大きな影響がある。

欧州主要国でも増えるEV

 図-2が欧州主要国での今年4月のEV販売台数を示している。主要国に加えオランダ、北欧諸国などEVシェアが高い国が欧州にはあり、EU27カ国に英国、スイス、ノルウェー、アイスランドを加えた欧州での今年4月のEVシェアは20.4%(BEV13.1%、PHEV7.3%)。販売台数は前年同月比25%増の19万7000台に達している。ちなみに、欧州ではハイブリッド車(HV)の販売も伸びており、前年同月比20%増の24万6000台になっている。

 欧州内でのEVの広がりには偏りがあり、所得が高い西側諸国ではBEVを中心に販売台数は順調に伸びているが、所得が相対的に低い中東欧諸国などでは充電ポイントの整備の問題もありEVのシェアは伸び悩んでいる。EVが広がらないポーランド、イタリアなどではHVが高いシェアを占めている。


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