いずれにしても最新の情報が反映されたものではないことも知っておいた方がいいだろう。ChatGPTに「医療についての質問をして正確に答えることはできますか?」と聞くとChatGPTは、「はい、医療に関する質問に対しても私はお答えできます。ただし、私の知識は2021年9月までのものであり、最新の医学的情報については常にアップデートされる必要があります」と誠実な答えが返ってくる。
ChatGPTは米国が開発した新兵器?
インテリジェンスの歴史研究で有名な学者の一人は、ChatGPTは、米国が開発した新兵器だという。ChatGPTを使用する人間を米国人と同じ思考に変えてしまうのが目的だという。
世界最大の統計データを提供しているスタティスタ社の「ウェブサイトで利用されている言語割合」によると1位は英語54.4%、2位ロシア語5.9%、3位ドイツ語5.7%、4位日本語5.0%で、5位スペイン語4.7%、中国語4.1%となっている。結果、学習用データセットのほとんどは、英語文化を反映したものであり、ChatGPTが出す答えも、多分に西洋的な考え方を表現している。
米国が開発した新兵器だという意見も、15年にOpenAI社がサンフランシスコに設立されたときの創設メンバーの一人にイーロン・マスク氏がいたことを考えれば、無視もできない。ロシアによるウクライナ侵攻で一躍有名になったインターネット衛星通信「スターリンク」もイーロン・マスク氏の経営だが、米軍からの資金提供や米空軍との共同実験を行うなど、軍事目的で開発されたことを思えばなおさらである。
限界を知って使いこなす
ChatGPTが米国の新兵器かどうかはさておき、世間の批判を浴びぬようChatGPTが成長していくためには、ポルノや人種差別、憎悪にみちた言葉などを排除していくことが不可欠だが、そうした行為は、検閲につながることも忘れてはならない。また、ChatGPTの発話は、誰かが不快に感じる可能性を徹底して排除しなければならないが、人が聞き、話し、議論し、変化しながら成長していくのと同様に、ChatGPTが、物議を醸す見解を示したとしても恐れてはいけない。
なぜならChatGPTは、まだ成長過程にあり、限界があるのだから。