間伐で生産量が増えると言えるのか
さて、各林齢の立木材積にそれまで行った間伐材積を加えたものがその林齢までの総生産量となるので、図2から読み取り筆者が計算してみた。それが図3である。
これによると、各プロットの104年生の総生産量は高い方から弱度E、中度H、中度D、弱度G、無間伐F、無間伐B、強度C、強度Aの順となった。弱度から中度の間伐が総生産量を多くするようである。
しかし、この試験地では調査対象はあくまで生立木(生きている立木)であって、枯死木(枯死している立木)は調査対象外である。したがって無間伐区で生じる枯死木は、総生産量にはカウントされていない。
図4の生立木本数の推移からわかるように、無間伐区では49年生で約900本あったが104年生では500~600本に減っている。この間発生した300~400本の枯死木は調査対象から外され、プロット内で立ち枯れているか、倒木となって横たわっている。
対して間伐区では、枯死が予想されるような劣勢木(陽光が制限され成長が劣っている木)はすべて間伐され、間伐量にカウントされている。したがって、総生産量に枯死木を含めると無間伐区の方が多いと考えられる。
したがって地球温暖化防止対策上は、総生産量の多い無間伐の方が有効と言えるだろう。
ちなみに、この試験地は現在100年生を超える高齢林であるが、図2を見れば、どの処理区においても林分材積の増加傾向は壮齢時とさほど変わっておらず、今もなお成長の鈍化傾向はみられない。全国各地の標準伐期齢は年間成長量が最多になるおおむね50年生前後になっているが、この試験地ではその倍の100年生でも成長を持続していることがわかる。
この試験地での結果は現場感覚にも合致するものであり、標準伐期齢を引き上げる長伐期施業を推進する裏付けとすべきであろう。