2024年4月26日(金)

Wedge SPECIAL REPORT

2023年5月22日

 日本の林政は、「持続可能性」という世界的潮流とは逆行し、2011年以来「林業の成長産業化」路線をひた走ってきた。 

 その路線が堂々と表れたのは、林野庁が発表した16年の「森林・林業基本計画」であった。同計画は、01年に制定された「森林・林業基本法」に基づき、5年に1度、林野庁が策定し、公表されるものである。16年の同計画(以下、16年計画)では、「林業の成長産業化」を唱えて、かなり強引に短伐期皆伐(短い林齢で対象区画の樹林を全て伐採すること)路線を推進した(詳細は後述)。

 そして21年6月には、新たな「森林・林業基本計画」(以下、21年計画)が策定され、これまでの成長産業化の負の側面を〝反省〟し、「グリーン成長」へと転換する方針を掲げ、「新しい林業」によりそれを実現することが高らかに宣言された。だが、中身を吟味すると、「グリーン成長」へと看板が変わっただけで、結局は「林業の成長産業化」路線を継承し、強化している。

 本稿は、これまでの日本の林政の歩み、世界的潮流を踏まえた上での現在の日本の立ち位置や特異性(課題)、今後の方向性を読者諸氏に明らかにするものである。


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