3ー4ー2ー1の2列目は他にも藤野のほか、チームで1、2を争うスピードを誇る宮澤ひなた(マイナビ仙台レディース)や最年少19歳のファンタジスタ・浜野まいか(ハンマルビーIF)ら、個性的な選手の揃うポジションであり、池田監督が試合ごとに異なるチョイスをする可能性もある。この3ー4ー2ー1というシステム自体も可変性が高く、組み合わせや相手との力関係、試合の流れで5ー4ー1や5ー3ー2のようにしたり、どちらかのウイングバックを前に上げたり、自在性の高いオーガナイズができるだけに、ピッチ上の選手にも状況判断が問われてくる。
グループステージの先にいる強敵の存在
2試合目のコスタリカ戦は日本がほぼボールを持つ側になるはずだが、前線に絶対的なアタッカーがいるザンビアに比べると、もう少しパスを繋いでくるので、点を取りに行く中でもリスクマネージメントやバランスワークが問われてくる。逆に3試合目のスペインは日本より中盤でボールを繋ぐ能力が高く、ボールを持たれる時間も長くなる中で、いかに粘り強く守りながら少ないチャンスに集中力の高い攻撃を繰り出すかが問われる。ただ、それも日本がザンビア戦とコスタリカ戦でどういう結果になっているか、さらにはスペインの置かれた状況にも左右されるだろう。
グループステージを突破したら、3試合でチームも成長しているはずだが、逆に疲労は出てきているかもしれない。ラウンド16の相手はA組の1位か2位であり、開催国のニュージーランドかノルウェー、あるいはスイスが下馬評を覆して勝ち上がってくるかもしれない。
ニュージーランドはホームの後押しがあるし、ノルウェーはFIFAランキングが12位ながらパワーやスピードに特長があり、日本はあまり相性が良くない。2度目のW杯となるスイスもパワフルで経験豊富なFWラモーナ・バッハマン(パリ・サンジェルマン)を中心とした鋭い攻撃が自慢で侮れない相手だろう。
ラウンド16を勝ち上がれば、準々決勝は米国、スウェーデン、オランダなど優勝候補が相手になる見込み。ただ、もうそこまで行ったらどこと当たろうが間違いなく強敵だし、逆に言えば日本も相手にとって手強いチームになっているはず。まずはグループステージをしっかりと突破し、良い流れを決勝トーナメントに乗せていきたい。
本大会で11年の時のような〝なでしこフィーバー〟が起こるのか。日本の女子サッカーと日本社会へ新たな希望をもたらしてもらいたい。(文中敬称略)