「ロンドンで感じたことは、海外の選手たちはもの凄く速いということです。自分たちとは練習している量が違うんですよ。土・日は1日中走ったとしてもぜんぜん足りないんです。ロンドンに行く前から分かっていたんですけど、世界との差を改めて感じました。病気の進行のこともありますけど、ロンドンで悔しい思いをしたので諦めたくないという気持ちもありますし、なによりあの舞台にもう一度立ちたいという強い思いがあるのでリオを目指したいと思います。次回はメダルを獲って素直によろこびたいですね」
障害者アスリートを取り巻く問題点
「今回のロンドンで日本人選手はメダルを獲れなかったんですが、それは海外の選手たちがどんどん伸びてきているからなんです。日本は選手個人もですが、国としての支援体制から変わってもらわないとメダル獲得は今後さらに難しくなってくると思います」
「障害者スポーツはリハビリの一環でレクリエーションとして厚生労働省が考えています。海外にはナショナルトレーニングセンターのような施設があって障害者も使えるのですが、日本では使わせてもらえません。ロンドンの前に何名かの選手たちが少し使えたくらいでした」
「海外ではメダルを取るためにそういう施設に入って合宿して強化しているんです。いまの私たちは世界大会の前になって合宿をやっても1週間も出来ません。今回は実質3日ですよ。強化費もありませんから、ほとんど選手が個人でやるしかないんです。海外の選手たちとは支援体制や環境が違うので、日本も変わらなきゃいけないと思うんです」
「もし2020年東京で開催されたとして、今までのままだったらたくさんメダルを獲るのは厳しいかもしれませんね。北京もロンドンも開催国はメダルをたくさん獲っていますから」
近代オリンピックとは、スポーツを人間の調和のとれた発育に役立てることにある。その目的は、人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会の確立を奨励することにある、とオリンピック憲章にはある。
また、人種、宗教、政治、性別、その他の理由に基づく国や個人に対する差別はいかなる形であれオリンピックムーブメントに属することは相いれない、ともある。
ではなぜ、健常者と障害者が分け隔てなく施設を利用することができないのだろうか。これもリハビリの一環だから、という理由からか。どちらも国を代表する選手たちではないか。