2024年11月22日(金)

Wedge OPINION

2023年8月19日

 だが、市場経済には絶対的な臨界点がある。例えば中国の不動産市場は、この臨界点を超えた乱開発がなされ、権力・金融・信用・人々の欲望などの諸要素が加わって誤ったエコシステムを形成した。そして混乱を恐れる為政者は介入・改革の機会を逸し、深刻な事態に陥っている。

 金融も同様である。1990年代に国有銀行の不良債権問題が深刻化した時、政府は不良債権を買い取り会社に移管・分離してバランスシートを改善させ、その後の経済膨張で不良債権を優良債権に変質させてきた。しかし現在、政治の意志を受けた国有銀行は底なし沼の不動産業救済に加え、一説では最低9兆ドルとされる地方政府傘下事業体の不透明な債務問題に対応を迫られている。しかし、今後のマクロの膨張は見込めず、同じ処理手法の再現には限界がある。

 無謀なインフラ計画も同様の問題を抱える。景気回復の支援のため、政府は2027年までに高速道路を21年末の11万7000キロメートル(㎞)から13万㎞へ、空港数を22年末の254カ所から約280カ所へと約1割増やし、高速鉄道は22年末の4万2000㎞から5万3000㎞へと約3割の拡大を目論む。だが、高速道路と高速鉄道に関連する政府の負債は、22年末で合計13.6兆元と、公的債務94兆元の約15%、国内総生産(GDP)の約11%に及ぶ一方、収支や経済効果も含めた実効性は不透明である。

国内経済は八方塞がり
だからこそ「打って出る」中国

 経済の高次化も、高圧的な対外政策による摩擦で、サプライチェーンの移転、外資の新規流入の低迷、半導体規制に代表される技術封鎖を招き、困難な自力発展を余儀なくされている。このため経済成長は停滞し、雇用情勢の深刻化にも歯止めがかからない。

 実のところ中国経済は、「八方塞がり」の状態にある。そして、

(続きは下記リンク先より)

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Wedge 2023年9月号より
きしむ日本の建設業 これでは国土が守れない
きしむ日本の建設業 これでは国土が守れない

道路や橋、高層ビルに新築戸建て……。誰もが日々、当たり前のように使うインフラや建築物にも、それらをつくり、支える人たちがいる。世は「働き方改革」全盛の時代─。その大波は建設業界にも押し寄せる。だが、目先の労働時間削減だけでなく、直視すべきは深刻な人手不足や高齢化、上がらぬ賃金などの課題だろう。インフラや建築物は、まさに日本の「機能」であり「国土」そのものでもある。“これまでの”当たり前を、“これからも”続けていけるのか─。その分水嶺にある今、どのようにして国土を守っていくべきか、立ち止まって考えたい。


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