2024年6月14日(金)

バイデンのアメリカ

2023年9月19日

トランプ政権時と比べてみると

 しかし、その一方で、過去2年余りの経済状況全般をトランプ政権当時と比較した場合、明らかに好転してきていることは否めない。

 この点で、「Wall Street Journal」姉妹誌「Barrons」が去る6月、両政権下での経済状況を比較した特集記事はひとつの参考資料になる。

 同誌は「新規雇用数」「失業率」「政府債務推移」「インフレ率」「国内総生産(GDP)成長率」「株価上昇率」など11分野についてそれぞれチャートをつけ、両政権の発足後、2年半の間のデータを比較、論じている。

 そのハイライトとして、以下のような点を指摘している:

・GDP成長率を見ると、トランプ政権下の17年第1四半期から19年第2四半期にかけて、平均2.5上昇した。しかし、当初掲げた目標値をかなり下回った。これに対し、バイデン政権下の最初の1年間に7%に上昇したものの、物価上昇で減殺された。それでも、23年第1四半期までの平均成長率は3.1%を維持している。

・政府累積債務を比較すると、トランプ政権下の4年間に7兆8000億ドル増となったのに対し、バイデン政権下の直近までの2年半の増加額は3兆7200億ドルにとどまっている。

・平均株価上昇率を比較すると、トランプ政権下では企業減税効果を反映して、最初の2年間で21.2%も上昇した。これに対し、バイデン政権発足後、直近までの上昇率は8.5%にとどまっている。

・インフレ率を見ると、トランプ政権発足以来、急速に上昇を続け、バイデン政権に継承後、22年6月までの間に9%を突破した。しかしその後は、バイデン政権下での金融引き締め効果もあり、着実に下降し始め、今年4月には4.9%台となった(注:最新数値は3.18%)

・就業者増加率を見ると、トランプ政権下では月平均増加数は18万人と健全に推移した。 しかし、バイデン政権発足以来、これを大幅に上回り、月平均47万人も増え続けている。

・失業率については、トランプ政権は、19年時点で「史上最低の3.5%」になったことを誇らしげに発表したが、その後は、政権末期までに6.3%にまで逆戻りした。しかし、バイデン政権下で着実に改善に向かい、23年4月には3.4%にまで下がった。

 上記のように、バイデン政権は、「株価」以外のほとんどの主だった経済指標において、トランプ政権当時の実績を上回っていることは否定できない。

共和党内でも割れる政策の評価

 しかも、共和党にとって気まずいのは、こうしたバイデン政権下での堅調ぶりを下支えしてきた経済政策のうち、重要な役割を果たしてきた「インフラ投資拡大」「半導体・サイエンス支援」の2大法案の議会成立に共和党議員(複数)が手を貸してきた事実だ。

 例えば、1兆ドル規模の「インフラ投資拡大」法案審議の場合、共和党上院議員19人、同下院議員13人が支持投票した結果、採択、成立した。「半導体・サイエンス支援」法案審議では、共和党上院議員16人、同下院議員24人が民主党に同調して成立させた。

 この中で「インフラ」法案に支持投票した共和党議員の一人、ビル・キャシディ上院議員(ルイジアナ州選出)は「国家が直面する重要課題に超党派で取り組んできた成果だ。バイデン民主党大統領のお先棒を担いだわけでは決してない」と法案成立後、記者団に釈明した。

 同じく、「半導体」法案審議で支持投票した同党のトッド・ヤング上院議員(インディアナ州選出)は「この法案は自分がトランプ政権当時からチャック・シューマー民主党上院議員と一緒に練り上げてきた大構想であり、それをバイデン大統領が積極的に後押しして成立させたことは、率直に評価すべきだ」とコメントしている。

 「インフラ」法案に支持投票した同党のスーザン・コリンズ上院議員(メーン州選出)も、「支出総額のうち2億7200万ドルが地元に還元させることになった」として、成立を高く評価した。


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